白雪姫は無防備過ぎる
「タカくん、ベッドに行きましょう」
先にお風呂から上がった隆史がリビングで待っていると、寝間着姿の姫乃が頬を赤くして来た。
いつもは肌を隠すネグリジェが多いのだが、今日の寝間着は普段より露出度が高い。
ノースリーブに鎖骨部分どころか少し胸元が見えており、さらには丈が膝上のネグリジェだ。
いつもといっても寝間着姿なんて数えるほどしか見てないし、少し露出度が高い服を持っていてもおかしくはないだろう。
だけどこれから一緒に寝るため、露出度が高めの服を着られると非常に困る。
見ただけでも心臓が早く鼓動しているのだし、一緒に寝たら破裂しかねない。
「もう寝るの?」
スマホで確認すると、今の時刻は二十一時過ぎのため、寝るにはまだ早いだろう。
「まだ寝るつもりはありませんが、ベッドで横になりながらお話、したいです」
「わ、分かった」
さらに心臓が早まるのを感じつつも、頷くしか出来なかった。
恥ずかしいが、はやり好きな人と二人きりで話せるのは嬉しいからだ。
お風呂に入る前に麻里佳に泊まることを伝えたため、邪魔する者はいない。
付き合ってないんだからエッチなことしちゃダメだよ、とは言われたが、生憎する度胸は持ち合わせていない。
「まあ、姫乃が俺の寝間着を用意してたのに驚いたけど」
お風呂上がりに上下水色のパジャマとボクサーパンツが用意されていた。
せっかくだから着ているのだが。何とも言えない気持ちだ。
「先日通販で買いました。タカくんがいつ泊まりに来てもいいように」
恥ずかしそうに答える姫乃が可愛すぎて、これだけで心臓が破裂しそうだった。
でも、これでいつでも泊まりに来ていいということなため、隆史にとってはこれ以上ないくらいに嬉しい。
泊まりに来てもいいくらいに信用されているのだから。
「ありがとう。ベッドに行こう」
「はい」
手を繋ぎながら寝室に移動した。
(相変わらずいい匂いだ)
姫乃の寝室は女性特有の甘い匂いで満ち溢れており、嗅いだだけでクラクラしそうだ。
最近は良く隣にいるから姫乃自身の甘い匂いは感じるが、部屋はまた違った甘い匂いがしてヤバい。
「ベッドに行きましょう」
「う、うん」
手を繋いでいる姫乃にベッドまで連れて行かれて横になる。
とっても幸せな気分で、このまま時間が止まればいいのにとも思う。
ずっと一緒にいれる幸せを一生味わっていられるのだから。
姫乃もそう思ってくれたら嬉しいのだが、流石にそこまでは思っていないだろう。
一人でいると虐められた光景などを思いだすから、寂しい気持ちを紛らわすために一緒にいるだけにすぎないはずだ。
最近触れ合うことにかなり積極的になってきている姫乃に恋心があるとなれば、告白してきてもおかしくないのだから。
恥ずかしくて告白出来ないだけかもしれないが。
「タカくん……」
横になりががらも姫乃が胸に顔を埋めて甘えてくる。
本当に可愛く、今すぐにでも告白したいが、しても答えは分かりきっているのでしない。
フラれると分かって告白する人は中々いないだろう。
(にしても無防備だ)
露出度が高めのネグリジェを着て異性にくっついているのだし、襲われても文句の言えない状況だ。
襲われることがないと分かっていてしているのだろうが、普通は付き合ってもいないのにするのではない。
今はいくら襲う気がないとはいえ、その内理性が崩壊して狼になってしまってもおかしくないのだから。
でも、姫乃がこうなるのは、本当に信頼した人にだけだろう。
可愛い女の子が誰にでも無防備だったらよろしくはない。
「抱きしめてください」
「わ、分かった」
姫乃からのおねだりを聞いて抱きしめる。
甘い香りに柔らかい感触のせいで理性はガッツリと削られていくが、一度抱きしめると中々離れることが出来ない。
(だから無防備だよ)
無意識の内に人肌を求めてしまっているのか、姫乃は自分の足を隆史の足に絡めてきた。
太ももの根元の内側だけでなく、感触的に恐らく下着も触れてしまっている。
服越しだからハッキリとしないが、肌触りが凄く良さそうだ。
「朝まで、離しません」
明日は寝不足になるのが確定した瞬間だった。
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