猫耳メイドの白雪姫
「お待たせ、にゃあ……」
猫カフェで一切猫と戯れられなかった隆史は、姫乃に家に連れて行かれた。
そしてリビングのソファーで待つとこ十分、猫耳メイド姿の姫乃が頬を真っ赤に染めて現れた。
「何で、そんなのを?」
以前メイド服は着てもらったことはあるが、まさか姫乃も買っていたとは驚きだ。
前に着てもらったメイド服とそこまで形状や露出度は変わらないものの、一つだけ違うところがある。
「その……タカくんがメイドさんを沢山見ていたので買ったのですが、カチューシャが猫耳、でして」
一つ……一つの大きな違いはカチューシャが猫耳になっているということ。
恐らくは間違えて注文してしまったのだろう。
もしかしたら自分が着るかもしれない、と思って恥ずかしさであまり画像などを見れなかったようだ。
「何で猫耳?」
以前着てもらったから全く見れないわけではないが、銀髪猫耳メイド破壊力抜群で直視は出来ない。
「タカくんが猫と戯れられなかったので、私が変わりに猫になって戯れて差し上げようかと」
トゥンク、と叫びたいほどに心を撃ち抜かれた。
恥ずかしい想いをしてでも猫耳メイド服を着てくれたのだし、本当に可愛すぎる。
ただ可愛いだけではなく、猫と戯れることが出来なかった隆史のために着てくれたのが可愛すぎるのだ。
「タカくんの、好きなだけモフモフしてください、にゃあ……」
「わ、分かった」
猫耳メイドの姫乃をモフモフするのは恥ずかしいが、してもいいと言われたらするしかない。
それにここで断ったら男が廃るし、恥ずかしい想いをしてまで着てくれた姫乃に対して失礼だ。
なので猫耳メイドの姫乃にモフモフすることに決めた。
「お、おいで?」
「にゃ、にゃん」
恥ずかしいけど手招きをしてみると、四つん這いになった姫乃がこちらに近寄ってきた。
恥ずかしそうな声にこれ以上ないくらいに頬が真っ赤なために恥ずかしいのだろうが、猫と戯れることが出来なかったタカくんのために頑張りたい、と思っているのだろう。
顔の前に猫の手を作ってる姫乃が可愛らしい。
他の人の前では絶対にしないだろう、と思うと同時に、この関係はいつまで続くのだろう? と考えてしまった。
姫乃は虐められなくなったし、隆史も失恋の傷はだいぶ癒えたのだから、いつ終わりを迎えてもおかしくはないだろう。
「タカくん、どうしましたにゃあ?」
自分では気付かない内に悲しい顔をしてしまったようで、姫乃が心配そうな瞳で見つめてくる。
「何でもないよ」
お互いに傷の舐め合いをする関係なのだからその内終わりを迎えるかもしれないが、今は一緒にいれる時間を楽しむことにした。
今は何よりもこの時間が幸せなのだから。
「悲しくなったらいつでも言ってくださいにゃ。私がいつでも慰めて差し上げますにゃあ」
「ありがとう」
右手を顔の前に差し出してみると、猫耳メイドの姫乃が「にゃあ」と頬ずりしてきた。
恥ずかしさはあるものの、楽しんでいるようだ。
メイド服自体は凄い可愛いし、せっかく注文したから着てみたかったのかもしれない。
(可愛すぎる)
銀髪猫耳メイドで猫のように甘えてくる姫乃は破壊力抜群で本当に心臓に悪いが、それでもずっとしていて欲しい気持ちになる。
――ずっと姫乃と一緒にいたい。
一時的な関係であれど自分のためにこうやって頑張ってくれる姫乃が本当に好きで、一生離れたくない。
そう思ってしまうくらいには好きになってしまっている。
昔悲しみから解き放ってくれた麻里佳からすぐに他の女の子を好きになってしまったが、大抵の男でも姫乃と一緒にいれば彼女を好きになってしまう。
それくらい姫乃には魅力があるのだ。
「タカくん、沢山モフモフしてくださいにゃあ」
「モフモフってどこを?」
猫みたいに毛があるわけではないし、どこを触ればいいかわからない。
「タカくんの好きなとこで大丈夫、ですにゃあ」
「どこでもって……」
ついいつも以上に露出されている胸元を見てしまう。
四つん這いだからいつも以上に目立ち、男の本能のせいで目が逸らせない。
視線に気付いたからか耳まで真っ赤にしている姫乃だが、見られても嫌そうな顔はしていないようだ。
今まで一緒にいて襲われていないため、そういったことにならないと信頼しているのだろう。
信頼してくれるのは非常に嬉しいが、やはり心臓には悪い。
「今日は私を猫だと思って沢山モフモフしてください、にゃあ」
好きな人を猫だと思ってモフモフするのは相当難易度が高いだろう。
女の子の扱いに慣れているのであればともかく、慣れていない隆史にはモフモフするのは難しすぎる。
「じゃあ……」
難易度は高いが、してほしそうだったのですることにした。
好きな人がしても良いって言ってくれているのだし、恥ずかしさを我慢してでもやる。
「ん……」
まずは以前したことがある頭を撫でると、目を細めて嬉しそうな顔になった。
「もっと大胆にモフモフしてもいいですにゃあ」
「大胆に……」
今の姫乃の頭を撫でるだけでも難易度が高いのに、さらに大胆なモフモフなんて出来るわけがない。
「私が一番信用しているタカくんだから……沢山触れてほしいって思うんです」
右手を優しく包み込むように両手で握ってきた姫乃は、本当に触れてもいいかのようだった。
「じゃあその……胸に顔を、埋めさせていい?」
この関係になるきっかけになったと言ってもいい胸で慰めてもらう……恥ずかしさはあるが、これなら出来そうだ。
「いい、ですよ。来てください」
胸元がぱっくりと開いたメイド服で胸に顔を埋められるのは相当恥ずかしいようだが、姫乃は笑顔で了承してくれた。
「じゃあするね」
「はい」
深呼吸してから隆史は姫乃の胸に顔を埋めて堪能した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。