白雪姫とキスマークを付け合う
「いらっしゃい。タカくん」
土曜日で学校が休みの日、隆史は朝ご飯を食べた後に姫乃の家に訪れた。
朝ご飯も作りたがっていた姫乃だが、基本的には昼ともしくは夜に作ることに落ち着いたから休日はご飯を食べ終わった後に彼女の家に行く。
そこで今日はどこに行くか決める。
お互いにバイトをしていない学生なので毎週どこか出かけるなんてことは出来ないため、家でまったり過ごすこともあるが。
笑顔で出迎えてくれた姫乃は可愛いな、と思いつつ、靴を脱いでリビングの方へ向かう。
「タカくん」
恐らく一人の時はまだ虐められたことを思い出してしまうであろう姫乃に抱きしめられた。
夜はメッセージアプリで連絡を取ったりするが、悲しい気持ちがあるのだろう。
「今日は行きたい場所ある?」
「ずっとこうしてたいです。悲しい夢を見たので……」
ギュっと強く抱きしめてきて離れようとしない。
一人で孤独になるか虐められる夢でも見たのだろう。
「ずっとタカくんを、感じていたいです」
くっつかれたりするのには多少慣れてきたものの、好きな人から言われるとやはりまだ心臓に悪い。
身体が熱くなるし、心臓だって激しく動く。
でも、好きな人との触れ合いは好きで、心臓に悪かろうとくっついていたい。
誰だって好きな人との触れ合いは嬉しいはずなのだから。
「もちろんいいよ」
離れることのない姫乃と共にソファーに座り、そのまま彼女の頭を撫でる。
ん……と可愛らしい声を出した姫乃は、目を細めて撫でられるのを楽しんでいるようだ。
女の子は寂しい時とかに頭を撫でられると嬉しいよ、と昨日麻里佳が言っていた。
どうやら本当のようで、もっと撫でてほしそうな瞳でこちらを見つめている。
好きな人の願いは叶えてあげたくなる衝動にかられてしまったため、嬉しそうな表情の姫乃の頭をまた撫でた。
一緒にいるだけでこんなにの愛おしく想い、どんどん好きになっていくのが分かる。
日に日に好きになっていくなんてことは、麻里佳を好きになった時にはなかった。
好きな気持ちはあったものの、やはり姉として見ていたとこもあるからだろう。
完全に姉の代わりになってくれていたのだから。
「タカくん、キスマークを付けて欲しいです」
頬を赤らめた姫乃からのお願いだ。
でも、姫乃は丈の長いワンピースを着ているため、太ももに付けるには捲り上げなければならない。
触れ合いには少しずつ慣れてきているとはいえ、ワンピースの丈を捲り上げるのは難易度が高過ぎる。
「キスマークは首筋に付けて、ほしいです。そして私もタカくんにキスマークを付けたい、です」
別の意味で難易度が高過ぎるお願いをされた。
首筋に付けたら他の人に見える可能性があり、それを見た男子に嫉妬されるだろう。
バカップル認定されているとはいえ、嫉妬する男子はいる。
「女子たちからの虐めはなくなりましたけど、今後も起こらないという保証はないです。でも、キスマークがあればきちんとバカップルなんだなって思ってくれます」
「確かにそうだけど……」
本音を言うと首筋にキスマークを付けたいという気持ちはある。
好きな人を独占したい、そういう想いが隆史の頭を支配しているのだから。
「それに式部さんに見せつけられますし……」
「ん?」
「いえ、何でもありません」
あまりにも小声過ぎて聞き取れなかったが、そこまで大事なことではないのだろう。
「キスマーク、付け合いましょう?」
「わ、分かったよ」
物凄く恥ずかしい気持ちになるも、キスマークを付けたいという衝動を抑えることが出来なかった。
抱き合ったままおでこをコツン、とくっつけてから見つめ合う。
青い瞳には反射して自分の顔が写っており、全体が赤くなっているのが分かる。
そのせいでさらに恥ずかしくなるが、一度了承したことを止めるわけにはいかない。
「じゃあ、しようか」
「はい」
お互いにお互いの首筋に唇を当てる。
太ももも相当柔らかかったが、首筋も柔らかい。
それに姫乃の唇も柔らかいし熱く、このままずっとこうしていたい気持ちになる。
「んん……ちゅー」
柔らかい唇が首筋を吸っていて、負けないように隆史も姫乃の首筋を吸う。
お互いの首筋に吸い付くなんてシュールな光景かもしれないが、独占し合っているようで嬉しい気分だ。
ちゅー、という音が部屋に響き渡るせいで、もっとキスマークを付けたくなる。
もう離れてもしっかりとキスマークが付いているだろうが、お互いに離れることはない。
「えへへ、しっかりと付きましたよ」
もちろんずっと離れないわけにもいかず、少しするとキスマークの付け合いが終わった。
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