154試合目 メンバー集合
「ということで連れてきました」
「うぇいよおおお」
こんな話し方をしているがこいつは春馬である。
「あの?? 大丈夫なのかい?? 徹君……」
「大丈夫です。バカなんで」
「不安だなぁ……」
繭香は眉間にしわを寄せている。
俺が初めて春馬を見た時と全く同じ表情だ。懐かしい。
「その~、春馬君は運動神経はどれくらいなんだい??」
「化け物です」
「わかりづらいなぁ……。でもすごいってことだね。それならぜひうちの部活に入ってくれないかい??」
「御意!!!」
大学生になって春馬の馬鹿に磨きがかかった。おそらく受験の重圧から解放された反動だろう。
「でもこれで僕を含めて四人。サークルとしてはバッチシだね」
「で、先輩。まずは何をするんですか?」
「徹君は相変わらず早いねえ。早い男は(以下略)。そうだね……まずは歓迎会も込めてウォーリーボールなんかはどうだい??」
「「「ウォーリーボール??」」」
先輩以外は頭を横に傾げた
「あの先輩、ウォーリーボールって何ですか??」
「そうだね~~。簡単に言えば、バウンドしてもいいバレーって感じだね」
「バウンドしてもいい……ってどういうことですか??」
「あー!! もちろん。バウンドしてもいいって言っても床はダメだよ??」
「え?? じゃあ天井とか??」
「まあ天井も含まれるね」
「もしかして壁……??」
紫は難問を解くような表情をして口を開く。
「ザッツライト!!! 素晴らしいね!! その考察力、もしや瞬発的なスポーツでもやってたね??」
「剣道を……」
「なあるほど!!! 剣道は腕を強く振ると一般的に思われがちだけど、いかに小さくきれいな動きで相手をとらえるかの瞬発心理ゲームだからねぇ……!! 素晴らしい……」
スポーツの話になると早口になるところからスポオタの片鱗が顔を出している。
「こほん。話を戻すけど、壁に当てたバウンドを生かしたりするところから普通のバレーより人数も少なくできる。だけど頭もすごく使うね!!」
はあはあと繭香は息を荒げていく。このせいで喘息になるのではないかと不安になる。
「つまり普通のバレーに壁がついているのがウォーリーボールってことですか」
「そゆこと。ただ僕は遊ばないんだよね。あともう一人いればいいんだけど誰かいないかい??」
「ああ、それなら……」
「は~~~~~る~~~~~ま~~~~♡ 今日も最高 かっこいいわ~~~~~」
「さっきもあったろうが」
「この子は??」
「へんた……、春馬の彼女です」
「今何言おうとした??」
やべえ逆鱗だ。
「へえ……いいじゃないか。男女男女で最高だね。じゃあ準備をして始めよう!」
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