153試合目 入部???

「本当にいいのかい!?」

 繭香は目をダイヤモンドのようにきらりと光らせる。

「そりゃあそんな熱意見せられたら入るしかないじゃないですか。それに入りたいサークルなんてないですからね」

 どうせ入るならこんな熱意のある人のもとで一緒に居たいと感じた。

「ありがとう……!!! じゃあ早速入部を……」

「ちょっっとまったあああ!!!」

 繭香が書類を取り出そうとした瞬間だった。

「もう!! 徹!!! 僕も一緒にいくって言ったじゃないか!!」

 そこに現れたのは紫だった。

(おかしいなあ。そんなこと……言ってないけど似たようなこと言ってたわ)

「ごめんごめん」

「彼女は??」

 それはそうだな。急に部室を開ける人がいたら気になるに決まってる。

「彼女は紫。僕の彼女です」

「そうなんだ!! ということは2人まとめてゲットだぜ!!」

 某アニメのようにボールを片手に帽子を被る繭香

(せめてそういうのは心にしまっといてほしいな)

「彼は!??? 誰なんだい! 徹!!」

 なんだろう。この反応されると浮気してないのにしている気分になる。

「この部の部長で繭香さんって言うんだ」

「繭香……!? 浮気者……」

「大丈夫だよー。僕はこう見えても男なんだー」

「だからダメなんじゃないか!!」

「???」

 これ以上はややこしいことになると感じた俺は行動に出ることとする。

「大丈夫だよ紫。僕が好きなのは君だけだ」

「徹……」

 2人で見つめ合っていると沈黙に耐えかねたのか繭香が口を開く

「2人の世界に入ってるとこ悪いんだけど。そろそろ話題戻していいかな??」

「「あ……すいません」」

陳謝。

「それで2人とも入ってくれるのかな??」

「俺はもちろんですが紫は??」

「僕はどんな部活であろうと徹と一緒ならなんでもいいよ」

「よし決まりだ!!」

 指をぱちっと鳴らしながら決めポーズをする。

(この人は決めポーズをしないと死ぬのでしょうか?)

「ちなみに徹。これはどんな部活なの??」

「それはカクカクしかじかで……」

「へえ。面白そうじゃないか。僕もできることが有れば是非手伝いたいものだね」

 顎をすりすりと人差し指で触る紫。

「まあ君たちにやってもらうことは既に決めているんだ」

「なんですか?」

「ふっふっふ!! それはカメラマンさ!!」

「カメラマン??」

「そう!! 僕は編集は得意なんだけどカメラは壊滅的でね。全くなぜなんだろうか。でも君たちは見たところ反射神経がいいと推察をした。だからカメラマンを頼みたいんだ」

「それならできそうですね」

「だろ!?? でも一つ問題がある」

 深刻そうな顔で繭香はいう。

「なんですか?」

「被写体がいないってことなんだ。スポーツができる人とできない人。両方を一緒にさせて同じ競技をさせたいのだけど、なかなかそんな人集まらなくてね……」

「あーそれなら大丈夫ですよ」

「リアリィ!???」


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