97試合目 意外とそんなもん

 俺は家に帰ってから今日のことを振り返っていた。

「もしかしてうちのクラスの女子委員長って重いのか……??」 

 あほらしい理由で男女感がこんなに悪いなんて俺は思わなかった。

「兄さん……。今度は委員長さんを狙ってるんですか……?」

「狙ってるて……。一回もそんなことしたことないだろ?」

「うそでしょ……!! 兄さん……」

 なぜそんな『こいつやったこと自覚できてないの!?』みたいな反応するんだよ。

「その通りですよ!!!』 

「人の心を読むな」

 妹は俺の心を簡単に読みやがるから困ったもんだ……。

「だって兄さん!! この前鈴さんからも告白されたらしいじゃないですか!!」

「ど、どこでそれを!!!」

「私の兄さんネットワークを舐めないでください!!」

 もうそれ愛情じゃなくて狂気だよ……。

「ふふん!!」 

「いや褒められたことじゃないからね???」

 柚希はなぜこんなに“私すごいでしょ”感を出せるのだろうか。 

「は!! そんなことより女子委員長をたぶらかすのはやめましょう!!」

「本当に違う!! 俺はただクラスの男女間をもっとよくしたいだけだ!」

「そ、そ~なのですか??」

「そうだ」

 やっと理解してくれて助かったと思い、俺はほっと息をついた。

「しかしなぜ、クラスの男女間の話と女子委員長に関わりがあるのですか?」

「それはだな……」

 俺はその経緯について柚希に説明をした。

「そうだったんですね……。それはそれは……大変な問題ですね」

 え??

「ま、まあ確かにある意味大変な問題ではあるな」

「??? まあとりあえずいつも通りやさしい兄さんでよかったです」

「なんだとおもってたんだ……」

「いや、たらしこみ兄さんになったのかと思ってましたので……」」

「おい!!!! さすがにひどいぞ!!」

「えへへ」

 まあ冗談だろうな……。多分……多分!!!

「そ、そんなことより兄さん今日は何を食べたいですか??」

「そうだなあ……。柚希の料理は全部おいしいからなあ……、悩むなあ」

「そ、そんなにほめるなんて……えへへ……」

 柚希は少し口角を緩ませてわかりやすく照れていた。

「よ、よおし!! 今日は頑張っちゃいますよ!!」

 細い腕を顔の横で折り曲げ、ふんとかわいらしい様子を見せていた。 

ただ本音を話しただけだがなんだか機嫌がよくなってよかった。

「俺も今日は手伝おうかな」

「兄さんも手伝いますか~!! よーっし、がんばっちゃいましょー!」

 

 いろいろな問題が残っているけど、今は忘れてこの時間を楽しもう。

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