君も今日から運動部！！！

82試合目 ゆっくりしていってね。

　今日も今日とてせわしない世の中。しかしその中でも人々はゆっくりという言葉とともに休息をとる。

　俺は今日、ド変態の口から“ゆっくり”という言葉が出てきたことに驚きを隠せなかった。

「ゆっくりってゆっくりじわじわといたぶればいいのか？？」

「何それご褒美！？？　じゃなくて、今日はゆっくりと久しぶりに話をしたいだけだよ」

　彼女は少しハアハア息を荒げながら俺の提案を断った。そして何を言うかと思えば、かなりまともなことを言ったせいで俺は少し呆気にとられた。

「そ、そうか……」

　俺の口からはそうしか出なかった。

「どうしたの？？　そんな固まって。っというか固まってと絡まってってすごい言葉似てるわね……。」

　どこがだよ。

「と、とりあえず何を話したかったんだ？？」

「あ～それね……。私、生徒会長一応やってるじゃない？？？」

「そうだな」

「でも生徒会のみんなのせいですごい重圧なのよ」

「確かにな……。あいつらはもう生徒会というより信者だもんな」

「だからどうしたらいいと思うかなっ！　って聞きたくて」

「知らん」

「ぐう！！！　そんな素っ気ない態度！！　最高！！」

　この変態は……。どうしたら改善するのだろうか……。

「というかただ話すことないだけだろ。『とりあえずゆっくり話そうとか言っといて実は何話したらいいんだろう……』とか考えてるだろ？」

「す、鋭い！！　じゃなくてそ、そんなことないし～！　だ」

「いやおせえよ」

「でもなんでわかったの？？」

「作者は重い話とかあんま好きじゃないからここで悩み相談とか作風的に違うってわかる……。簡単な話だ」

（え？　作者の都合？？　なにそれ……。これ理解できない私が悪いのかしら？？　え？　どういうこと？？）

「そ、そうなんだ……」

　とりあえず凛は考えるのをやめた。

「で、なんでそんなに無理してまで俺を家に誘ったんだ？」

「私ね、久しぶりにとおくんにあえて嬉しかったの。だけどとおくんにはカワイイ女の子ばっかいて……。私のことなんて忘れてるんじゃないかなって思ってさみしくなって、だから！　久しぶりにまた二人の時間を作りたいなって思ったの！！」

　凛は熱弁する。まるでスティーブ・ジョブズかの如く。ジョブズスタイルで歩きながらさらに熱弁する。

「そ、そうか……」

　大体言いたいことはわかった徹だったが、なぜジョブズスタイルで説明をするのかだけはわからず考えるのをやめた。

「ってことでね！　今日だけは昔に戻ったみたいに一緒にゆっくりしようよ！！」

　確かにな……。こいつの気持ちもなんとなくわかる。

「仕方ない！　今日ぐらいは昔に戻るか！」

「やった！！！」

　凛の顔がぱあッと明るくなる。ここだけは昔と変わらないな……。

「じゃあ一緒に拷問パーティしよ！」

　本当に“ここだけ”なんだよな。