52試合目 ペア

  結局六人で勉強会をすることになったわけだが…

「ちなみに鈴はどれくらい宿題は終わってるんだ???」

「…」

「鈴???」

「…ない」

「なんだって??聞こえないんだが??」

「一個もやってない…」

 鈴はそういうと俺と目を合わせなかった。

「はい。おしまいです。」

「諦めないで!!!」

 勢いよく鈴は俺の胸ぐらをつかんできた。

「ぐ、ぐるしい…。だってこれもうどうすれば…」

「なら簡単よ、できてる人とできてない人でペアを組んで教えればいいじゃない。」

「なるほどいいアイデアだな、そのよだれが垂れてなければ。」

 ぐへへと言いながらよだれをふくさくらはもはや性の化身だ。

「じゃあどうペアを組むかだが、できない奴からの指名制にしよう。まずは春馬、お前誰に教えてほしい??」

「そりゃあ西屋敷だろ。」

 春馬は西屋敷を指さした。

「まあ、ぶっちゃけそれが一番健全だな。」

「え~~春馬君ずるいです!」

「磯貝!!!ずるいわよ」

「私だって春馬君とやりたい!!」

 一人意見が違うし、お前に選ぶ権利はねえ。

「いや、このペアが一番健全だ。男同士だしな。」

「じゃあ僕でもいいんじゃないかな。」 

 紫が手を挙げた。

「いや紫はダメだ。普通にかわいすぎるからな、もはや女性枠だ。」

「か、かわ…」

 紫は真赤になった顔を両手で隠した。

「兄さんがまた口説いてる…」

「口説いてないし、またってなんだ!??」

「私にもかわいいって言いなさいよ!!このバカ徹!!!」

「宿題全部終わったらな。」

「わかったわ。なら紫君を指名で、ささっとやるわよ。」

「え!?あ、わかりました…!」

 こいつ切り替ええぐすぎるだろ…魂がひねりすぎて引きちぎれそう…

「ということは私はさくらさんですね。」

「そうね、まあでも柚希ちゃんは同盟だし了解よ。」

「同盟…???」

「こっちの話。」

 そうしてペア同士が隣に座り、勉強会はスタートした。

春馬は意外と集中力がある、これもスポーツマンといわれる所以だな。

「西屋敷、これはどうすればいいの??」

「ここは、これをこうしてだな、」

「なるほど、ありがとう。」

 集中モードに入るといつものふざけがなくなる。いつもこうであってほしいと思う俺。そしてそれを眺めるさくら…ってん???

「おいさくら、柚希に勉強を教えてやれよ。」

「いやこの子、頭いいから全部自分で解いちゃうし特にやることがないのよ。」

「えっへん!」

 俺は胸を張った。

「なんで西屋敷が褒められたみたいな態度とるのよ…」

「兄さん、あともう少しで終わりそうです。」

 30分ほどで残り半分の宿題を終わらそうとするなんて、もしかしてうちの子…天才!??

「おお、それはえらいぞ~~」

「えへへ」

 今日もスマイルはかわいいぞ。

「じゃあ鈴はどうだ???」

「あの…全然わかんない…」

「さよなら。」

「諦めるなああああああああああああ!????」

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