君も今日から運動部!!!

鷹山

1試合目 初めての出会い

 「俺はスポーツが好きだ。とても好きだ!!!愛してる!!!」

教室でこう叫ぶ身長160cmぐらいの世間一般では低身長男子といわれる体格をしている黒髪男子の名は、磯貝春馬。

 彼はサッカーでは全国トップ5位。体育は常に5。短距離では世界トップクラスともいえる実力を持っている。いわゆる天才だ。

 「うるさい!!!お前毎日それ言うせいでクラスのみんなもう慣れたちゃったよ!」

 「なんだよ西屋敷!!俺の気持ちはもう止まらないんだ!!」

 西屋敷徹は春馬の小学校からの腐れ縁である。身長は170cmと平均的。スポーツも平凡。勉強は中の上とよくも悪くもないいわゆる普通だ。

 「普通普通うるさいわ!!!」

 「急に叫んでどうしたの??トイレでスクワットでもする??」

 「しねえよ。」

 しかしこれでも春馬はモテてしまう。俺のピークは小学生だというのに…

こいつを見てると運動がこの世のすべてのように感じて脳がバグる。

 「西屋敷!!聞いてくれ!!ロッカーにこんなのが入ってた!」

春馬はそういうとハートマークのシールが貼ってある便箋のようなものを取り出した。

 「お前…これって…」

 「そう!これはおそらく入部届だ!!!」

 「いや違うだろ!!!こんなカワイイ入部届見たことねえよ!」

 「え?これってゼ〇シィ特別付録についてくる奴じゃないの!??」

あれだ。こいつ本当にバカだ。

 「それは婚姻届な?」

 「コンイン???なんかの薬か??」

 「違う。結婚のことだ。」

 「待ってくれ。結婚はまだ早いんじゃ…?」

なんだろうなあ。これでさっきより正解に近づいてるっていう恐怖に耐えられない。

 「はあ。」

今世紀最大のため息だ。毎日記録更新してる気がする。

 「それは婚姻届じゃない。おそらくラブレターだろう?」

 「なんだそれ?食えるのか?」

おまえは悟〇か。

 「付き合ってほしいってことだろ。」

 「そういうことかぁ。最初から口で言えばいいのに。」

 「俺もそう思う。だってこれお前にとっては暗号に近いからな。ただ、口でいえないくらい恥ずかしいんだろ。」

 「そういうもんなのか?」

 「そういうもんだ。」

 「ってか、もう昼休み終わるぞ?西屋敷しゃべってないでごはん食べろよ。」

 「お前ぶっ殺していいか?」


授業終了後…

 「よし!!!ラブレター???の女の子探しに行くぞ!!西屋敷。」

 「嫌だ。」

 「どうして???」

 「めんどくさいから。」

そうだ。今日は帰って早くもう寝たい。何を言われようと絶対に今日は付き合わないと決めたんだ。絶対にだ。

 「2000円あげる!」

 「早くいくぞ!!!!!!!!」

 「おう!!!!!」

そういうと二人は自分たちの教室の扉を勢いよく開けて全速力でとびだしていった。

しかし春馬の足の速さは異常なため西屋敷との距離はどんどん空いていきいつの間にか西屋敷は春馬を見失っていた。

 「はあ…はあ…早すぎんだろ…」

血の混じった感触を喉で感じながら西屋敷は一言つぶやいた。そうしてゆっくりさっきの教室とは反対の校舎の廊下をゆっくり歩いていると、聞き覚えのある叫び声が聞こえてきた。

 「うおおおおおおおおおおお!!!にしやしきぃぃぃぃぃ!!!!」

全力で走って叫ぶ春馬の姿が見えた。

 「なんだよ??見つかったのか?」

だんだんじわじわと出てくる汗を腕で拭いながら西屋敷はそういった。すると春馬は元気そうに

 「いなかった!!!」

と笑顔で言った。

 「というかどこで待ち合わせだったんだ??」

 「え???」

 「ん???」

 「もう!西屋敷は馬鹿だなあ。それがわかんないから走って探してるんじゃないか!」

 「いや、ラブレターに書いてなかったのか??」

 「はっ!???お前天才か」

もはや奇跡の領域だ。もう差出人に返事の前に謝ってこい。

 そうしてそのラブレターを読むとこう書いてあった。

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 春馬さんへ

  私はあなたのことが大好きで、毎晩スクワットをしています。

 どうか、体育館で待ってます。

  あと西屋敷。お前もだ。

             愛しのkより。♡

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「結局場所はなかったね!!!!」

いや体育館って書いてあるよな??それについても言いたいとこだが…

 「俺まで!!!????いやいやいやいやこわすぎんだろおおおおおお!!」

西屋敷はこの年でやれば周りの人間が引くほど地団駄を踏んだ。

周りの一年生はドン引きしていた…




 



 

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