第32話

さて、昼は何を食べようかな。

そんな金津新平くんが会社から駅の方へ向かう。

すると駅の近くに地図を見ながら、ウロウロしてる少女が居たのだ。

PCから印刷した地図。

それを見ながら少女は歩いていくが、それ地図に着いた印と逆方向っぽいよ。


「どこか探してるの?

 あ、俺怪しい者じゃないよ。

 ○○〇って近くの会社の人間」


胸から下げてる社員証を見せる金津くん。

相手はセーラー服の少女。

ナンパに見られるのはゴメンだ。


「〇〇〇!

 そこです。

 その会社に行こうとしてたんです」


そう答える少女。



「と言う訳で連れて来ました」


そう言うのは金津新平くん。

『新平くん、どうしたの?』そう訊く餅子ちゃんに説明してた。



「ありがとね、輝子ちゃん」


和泉さんは輝子ちゃんにお弁当を受け取る。


綱子ちゃんは輝子ちゃんを観察。

キリっとした表情。

クッキリした鼻筋とアイライン。

意思の強そうな美少女。


「これが噂のセーラー服少女?

 確かに美少女だな。

 こりゃ和泉に勝ち目ねーな」



「この娘、地図持ってたのに迷ったの?

 新平くんが助けてあげたんだ」


と餅子ちゃん。

輝子ちゃんは慌てて弁明。


「わ、私は東京に慣れていないので」

「スマホ使えるでしょ。

 マップ見ればいーじゃない」


「あのスマホのマップは使いにくい。

 すぐ勝手に動くし、触れると方向が変わってしまう。

 どちらに行っていいか分からない」


ああ、マップ見るの苦手な人っているよね。

うん、うん。

頷く和泉さん。

和泉さんも割とニガテなのだ。


「じゃ金津くん、お昼食べて無いんじゃない。

 これあげるよ」


和泉さんはサンドイッチを差し出す。

六郎さんのお弁当が手に入ったのだ。

何の未練も無い。


「えっ、良いんですか?」


別に和泉さんが作ったサンドイッチでも無いのに。

何だか顔をパァッと喜びに溢れさせる金津新平くん。

わぁい、柿崎さんにお昼貰った。

そんな雰囲気。



そんな金津くんを見ていた輝子ちゃん。

金津くんを捕まえる。


「それでは私、帰ります。

 そこの人。

 金津さん、駅まで案内してください。

 私、この辺り不慣れなので」

「えっ、今来た大通りを戻れば良いだけだよ」


美少女に連れて行かれる金津くん。

何であの娘、新平くんの腕を引っ張てるの?

何故か、餅子ちゃんは少しイラついた表情になってるね。

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