夜伽噺

落葉

第1話 不思議な人とシンデレラと

夜、それは私たちを包み込む真っ暗な世界。

夜は大人の時間。子供たちはいずれ眠りにつく。そして深夜、この国で起きている人間は数える程しか居なくなる。

この国の人間は物語を書いて日々の暇を潰しているようだ。文章を書く能力のない私には到底理解できないものである。

そして、既存の話を自分なりにアレンジして書く者も出てきた。二次創作と言うのだろうか。

だが、私には物語の中に入ることができる。何故出来るのか?…それは企業秘密って事で。

さあ、君も来るかい?


「あら、久しぶりね。今日はどんな御用?」

「1ヶ月ぶりくらいかな。元気そうでなにより」

彼女はシンデレラ。王子様と結婚した後の時間軸だから、君が違和感を感じるのも仕方ない。

これも一種の二次創作から生まれたモノだ。書き手によって性格はがらりと変わる。

「で、土産の品はございませんの?わたくし、これを楽しみにしているのですけれど」

…作者が性格悪めに描いたからこう捻くれ者になったのかも。これでよく王子様と結ばれたものだ。

しかも作者がお嬢様キャラを書くのに慣れていないからか、なんか喋りも変に感じる。

「はい、これでいい?」

「あら、ショートケーキ?美味しそうですね」

ホッ…。あ、たまに「これは嫌だ」って言って癇癪起こすんだよね。ショートケーキでなんとか繋いだけど、次回はどうなるか…

…あれ、君もしかしてこの世界に飽きてきた?

じゃあ次の世界に行こうか…って、もうこんな時間か。

じゃあ、また今度会おう。いつかは分からないけれど。

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