洗脳されし者の救済・1
イベントの勝利条件は、洗脳された者を救い、親玉を倒すor撤退させる。逆に敗北条件はイサを70%以上破壊されることらしい。
また、イベント中は3回までデス可能で、それ以降は復活不可能とのこと。まあ、俺にデス関連のことは関係ないだろう。基本的に死なないスタンスだし。
「やっぱり爆発現場には人がたくさんいるな」
今回爆発が起こったのは南地区にある領主の館だ。
俺はすっかり館の存在を忘れていた。だって関わらないと思ってたから。
「お?ポポいるじゃん」
「キーデも一緒アル」
まだ敵は湧いてないのか、鑑識みたいなことしてるわ。
だが俺にはあの場所に合流する度胸がないため、立ち去る。
そんな俺たちが向かったのは冒険者ギルドだ。何故って?
ギルマスの様子を見に来たんだよ。あいつすげー怪しい。
「よ、ようこそ!ほ、本日はどどどどのようなご要件でっ?」
そんな緊張しなくて大丈夫だぞ?ぐるぐる眼鏡っ娘よ。
「ギルマス·····えーっとロウ?ロイ?っているか?」
「ロロロンさんですねっ···ほ、本日は不在です」
おいおい、こんな日に不在とか怪しすぎるだろ。どこだ?
「どこにいるか知ってるか?」
「た、確か領主様の館へ行かれるとおおっしゃっててました」
ありがとうと伝え、ギルドを出る。あの子めっちゃ噛んでたな。
それにしても領主の館か···これはまずい予感がする。
お?あれは俺が作成した猫人たち。屋根伝いに南へ向かって姿カッコよ!
「俺たちもいこう!」
「了解アル!」
領主の館に近づいてき···燃えてね?爆発したから当たり前か。
たくさんいた祝福者もまばら。どこいったんだ?
「マスター!この下に反応ネ!」
シェはそう言って領主の館の下を指差す。【気配察知】で発見したっぽい。
「とりあえず入ってみよう」
さすが領主の館だけあって、庭や扉が大きい。もっと小さくていいだろ。
「お邪魔しますよーっと」
燃えてるから暑い。ウェマーみたいに【耐火】でもあったらな。
「オーナー!こっちニャ!」
キーデが手を振って呼ぶ。そっちになんかあんの?
「俺が来ること知ってたのか?」
「シェからチャットがきたニャ」
···またフレンド機能かよ!お前ら俺より使いこなしてるじゃん!
待て、お前らの言いたいことは分かる。お前も人形とフレンド交換しろや。だろ?だがな、主としてのプライドが邪魔して交換したくない。負けた気がする。男なんてそんなもんさ。
少し長文になってしまった。簡単に言えば、プライドが邪魔してんだよ。
「お?これはなんだ?地下への入口?」
キーデが呼んだ場所まで行ってみると、そこには下に向かう階段が。
「そうニャ。ポポとかはここから下に向かったニャ」
「2階とかには行かなかったのか?」
そこから少し情報交換をしたが、この階段以外は全て調べたらしい。
しかし特に目を引くものはなく、ここの地下室を進めば敵いるんじゃね?という話になったとか。まあ俺もそう思うわ。
「早く行くアルよ!」
「うおっ!?ちょい!こけるこけるっ!」
シェに腕を捕まれ、地下に連れていかれる。階段で走るのは危険っ!
キーデは階段を5段飛ばしくらいで追いかけてくる。マジで軽業師じゃん。
「うおうおうおうおっ!!」
半ば必然的に、階段を下る。ものすごいスピードだ。
「うおうおぉぉぉぉ!?急に止まらないでぇぇ!!」
下り終えたら、シェがいきなり立ち止まった。俺は腕を捕まれているため、遠心力により壁に体をぶつける。痛たたた···。
「前見るネ!」
「これは···どこまで続いてるんだ?」
階段を降りると、長い長い廊下が続いていた。ここ地下だぞ?
すると、1人の男がこちらに走ってくる。あんなに慌ててどうしたんだ?
「おい!これから奥に向かうつもりか!?」
「そうだが、お前は行かないのか?」
大丈夫?俺自然に会話出来てる?心臓バクバクなんだけど。
「俺は生産職だからな。戦闘に向いてないから引き返してきた」
「戦闘が発生するニャ?」
「ああ、ボス部屋らしき扉があるからそう予想した」
なるほど、この廊下を進むとボス戦ね。把握。
「ん?鬼ちゃんじゃねぇか!これは百人力いや、千人力だ!」
鬼ちゃんって誰のk···あ、シェか。角生えてるもんな。
「情報ありがとう」
「いやいや、頑張ってこいよ」
そう言うと男は軽快に階段を上っていった。
みたか!?俺だってコミュニケーションとれるんだぞ!?
お前の社交性はどうでもいい?ちっ、分かりましたよーだ。
男と会話してから、俺たちはボス部屋まで歩いて向かっていた。
もう何人か分からないが、結構な人数に抜かされてる。ほら、抜かされた。
おまえらゆっくり行こうや。焦ってもボスは逃げないから。
おーい、体力温存しなくていいのかー?お前の装備重そうだな。
その鎌を装備するとかセンスあるぞお前。お前はセンス感じられないわ。
···はい。全て俺の独り言です。会話してないです。だって無理だもん。
「全く扉が見えてこない」
え、地下だよな?どこまで続いてんのこれ。
「早く戦いたいアル」
「急ぐニャ!」
引っ張らないでくれ。俺たち今手繋いでんだぞ?腕ちぎれるわ。
こいつら足速っ!やっぱり隠しステータスとしてSTRとかありそうだな。
俺がAGI10ってのも理由かもしれないが。
もう後ろにあるはずの階段も見えなくなった。遠い。遠すぎる。
景色も変わり映えしないから、つまらない。閉塞感もすごいな。
これだから他のプレイヤーはダッシュだったのか。今頃気づいたわ。
「あ!見えてきたネ!」
「想像以上に大きいニャ!?」
ムーデキリのときよりも更に大きな扉がある。これはもう門だな。
「誰もいないのが少し気になるが···突入じゃい!」
俺たち3人は、そのまま扉の中に吸い込まれていった。
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