第53話 望月冴子の恋愛市場価値
※今回は望月視点です。
最低ヤリチン野郎が警察に捕まりチャラいタイプの男と付き合う事にすっかりと懲りた私は、真面目で高収入な彼氏を作ろうと日々奮闘していたが、はっきり言って何の成果が出ておらず惨敗状態だった。
近寄ってくる男のほとんどは私の体目当てのクズか低収入の貧乏人ばかりであり、たまに良さそうな男がいるかと思えば既に彼女持ちや妻帯者だったりするようなパターンが非常に多かったのだ。
勿論、良さそうな男達に関してはなんとか頑張って相手と別れさせようともしたのだが、残念ながらことごとく失敗していた。
彼らから見て私は今の彼女や妻と別れてまで付き合いたいような上等な女では無いらしく、遊び以上の関係になるのは正直あり得ないらしい。
愛人やセフレにならないかと何度か誘われもしたが、あまりにも腹が立ったので全部その場で断ってやった。
「何が君とは付き合えないよ。やる事だけはしっかりと最後までやったくせによくそんな事が言えたわね、マジでムカつくわ……」
ほぼ全員から同じような事を言われたが、私のようないい女に欠点があるとはとても思えないため、彼らには人を見る目が備わってないというのが私の出した結論だ。
「別に私が高望みとはしてるとはとても思えないし、一体何がいけないのかしら?」
最低でも身長170cm以上で顔も普通以上、平均年収1000万円を超えるような大企業の社員もしくは医者や弁護士、30歳未満、専業主婦を認めてくれる、これが私の望む条件だった。
そもそもこれでもぐっと我慢してかなり妥協した方であり、これ以上は条件を下げたくない。
「身長170cm未満の奴は正直言って男じゃないし、ブサイクは気持ち悪いから絶対に嫌だし、金が無い貧乏な男なんてはっきり言ってあり得ないし、30歳以上のおっさんなんてパパ活とか以外で付き合うなんて論外だし、正直将来は働きたくないし……うーん、やっぱりどこも妥協できる部分なんて無いわね」
30歳を超えても結婚できる気配が全くない何か致命的な勘違いをした高望みババアならともかく、まだ20代前半のぴちぴちで若い乙女である私なら全く問題なく釣り合うに決まっているのだ。
私のルックスは自分で言うのもなんだがかなり高い方だと思うし、実際に周りの男達からもよく美人だとか可愛いだとか言われている事を考えると、恋愛市場価値は圧倒的に高いと言えるだろう。
「そうよ、私は昔からめちゃくちゃモテてきたんだし、どう考えても妥協して条件を下げるような必要なんて全くないわよね」
処女を卒業したのも確か小学6年生の夏休みの時で周りにいた他の誰よりもダントツで早かったし、元彼の数や経験人数も両手両足の指じゃ数え切れないくらいあるわけだから、恋愛の経験値に関しては誰にも負けない自信がある。
まあ、春樹のようにそんなに好きでもないような相手から告白され、様子見でとりあえず付き合ってみるパターンもそれなりにあり、その後は適当なタイミングで振るような事もかなり多かったが。
「とにかくもう2度とあの最低ヤリチン野郎みたいなろくでもない男には引っかからないようにしないとね。今回はかなり酷い目にあったし……」
働く事が大嫌いで男を手玉に取るのが大好きだったこの私が、逆に完全に手玉に取られた挙句無理なバイトやパパ活までして多額の金銭まで貢ぐ羽目になったのだ。
今になって思うとなぜそんな事になってしまったのか甚だ不思議だが、世間では恋は盲目とも言われているわけだから、恐らくそれが原因なのだろう。
あんな最低最悪な男を好きになってしまったことは私にとって黒歴史でしか無く、いっその事何もかも全て無かった事にしたいくらいだ。
「あーあ、私に相応しい理想的な男が早く現れてくれないかな。そしたら今後の人生はもっと楽に生きられるのに」
高収入な男であれば家事代行くらい雇えるだろうから、いちいち私が面倒な家事をする必要も無いし、一生好きな事をして遊んで暮らせるに違いない。
当然給与などは全部私が管理をするつもりだから、お金は使いたい時に自由に使いたい放題だ。
お小遣いは適当に毎月5000円くらい渡して我慢させるつもりだし、口出しをさせる気も一切ない。
私が痛い思いをしてまで子供を産んであげるつもりなのだから、そんな些細な事くらい我慢するのは当然では無いだろうか。
子供を産めない男よりも産める女である私の方が、立場が上なのは考えるまでもない事だ。
勿論子育てする気なんてこれっぽっちも湧いてこないので、金で雇ったベビーシッターへ全部丸投げしようと思っている。
「まあ、とにかく頑張りましょう。今日の合コンパーティーは参加条件が厳しくてハイスペックな男しか会場にいないはずだから期待できるでしょうし、楽しみだわ!」
合コンパーティー会場のビルにようやく到着した私は、今日こそは絶対にいい男を捕まえてやるとその場で意気込むと、そのまま会場の中へ入っていくのだった。
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