第46話 20 証拠
「園長、ただいま戻りました(タッタリア、今帰ったで。)」
「やあ、お帰りなさい。首尾はいかがでしたか?」
「そうね、まぁまぁ、っていうところかしら(せやな、なかなか、っていうところやな。)」
そう言いながら、ぺペンギンは、リンから出てきた。
リンは、がくりと肩を落としている。
「おい。タッタリア、ちょっと聞きたい事あんねんけど」
「何んでしょうか?」
「お前、リンに何んか細工した?」
「いいえ、私の専門は宇宙医学ですから、工学系は、とんと分かりません」
「うーん、そうかぁ」
「どうかなさりましたか? 統括教授」
「あんな、前から言語変換装置に違和感があるって、僕、言うてたやん?」
「はい、伺っておりますが、私としましては、良い感じで変換できていると思っております」
「ちゃうねん、お前の感想はどうでもええねん。あのね、こいつ勝手に喋り出すねん。それどころか、勝手に動き出すねんで。さっきなんかワイ、ぶん投げられてんで。後頭部が壁に激突してんで、そら痛いでぇ。しかも、こいつ、めっちゃ力強いし、僕、気絶してもうたよ。せやしな、故障にしては、めっちゃタイミング良く喋るし、突拍子もない動きするし・・・、って思うんよ。これ、おかしくない? まじ、何んも知らんの?」
「そう言えば、マルセリーノ統括教授が地球にお越しになる前に、リンは一度、我々の星に、定期検査の為に帰っておりますね」
「それや! そん時や、何んか細工されて地球に帰ってきとるで」
「私は、何も聞いておりませんが」
「ほんまに何んも聞いてへん?」
「さっぱり、です」
「そうかぁ、きっと何んかあると思うねんけどなぁ」
マルセリーノは、独り言のように呟きながら、リンの中に入り込み、黒い大きなケースへと歩いていった。
そしてケースの中に入る前に、改めてケースの中を確認すると、有った。
「あら、見つかっちゃったかしら!(おい、なんやねんこれ!)」
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