第15話 あとがき



 私達は、ぺペンギンさんを探しました。

ぺペンギンさんが飛んでいった方向へ、電車に乗り、降りた駅のバスに乗り、探し回りました。

毎週毎週探しました。

会社を休んで探しに行ったこともあります。

でも何んの手がかりも得られませんでした。

途方に暮れていた時、美咲が急に思いついて言いました。


「あなた、古本屋さん、あなたが目覚まし時計を買いに行った古本屋さんのご主人だったら何か知ってるかもしれないわ」


 どうしてそこに、早く気付かなかったのだろう。

私達は古本屋さんに行きました。

私達は其の店のご主人に会うことができました。

それで、マルセリーノさんが何処で何をしてるのかを尋ねてみました。

するとご主人は待ってましたとばかりに答えてくれました。


「マルセリーノ統括教授は、無事捕獲、失礼しました。ではなくて確保されましたよ」


「何処でですか?」


「見ての通り、あの小さな身体に、大きなパラシュートでしょ。多分、何度か着陸しては離陸を繰り返して行ったと思います」


「遠いんですか?」


「はい、海を渡って行きましたので、途中で無人島や大型船にも不時着しながらだと思います」


「何処ですか?」


「アメリカです、と言ってもハワイですけどね」


「アメリカ! ハワイ!」


 思いも寄らない返事が返って来たので、私と美咲が唖然としていると、

「そうそう、あなた方が訪ねてくるかもしれないから、と言ってマルセリーノ教授からメッセージと写真をもらっていますよ」


そういって印刷された紙片を見せてくれた。

其処には、サングラスをかけて、片手にブルーハワイを持ってパラソルの下で寝そべるぺペンギンさんが居た。

そしてメッセージには、


「まじ、さいなら、やで」


 と書かれていました。


 ある日、会社から帰ってくると、大きな鞄が二つありました。


「あなた、マルちゃんに会いに行くわよ」


「ハワイへ?」


 私は、残り少なくなった有給休暇を全て取りました。もうすぐ日本を離れます。それでは皆様。


  「まじ、さいなら、です」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る