家族

「んでー?なんで、ラミはこんな夜更けに庭で縮こまってるの?」

まあ、あらかた予想はつくが一応確認の為にラミに聞いておく事にした。

「あー...なんか、単身赴任でイギリスに行ってるお父さんが明日から一週間日本に滞在するんだって。だから私がいないとお母さんの立場がなくなるから帰ってこいって言われた...」

「で、まだラミの父親は帰ってないから家には入れてもらえないと」

本当に母親のやっていることが非道すぎて思わず歯軋りをしてしまった。本当に許せない。

「で、ラミは閥が悪いかもしれないけどラミが急にいなくなって通報でもされたら困るから一応は報告してうちに帰ろ」

まあ、それでもラミを帰さないつもりなら無理矢理にでも一緒に帰るのだが。あくまでそれは最終手段にしたい。

「うん...」

とどこか不安そうなラミは小さな手が微かに震えているのでそれを僕が握ると慈しむような目で見つめてくる。

「...やっと握ってくれた...」

手はほぼ初めて握ったが、女の子独特の守って上げたくなる柔らかさや小ささは理性が吹き飛びそうになるくらいには魅力的な物だった。

「悪かったな」

「...これから毎日握ってくれたら...ゆ、許してあげる...」

と頬を赤く染めながらラミが呟いてくるので可愛すぎて思わず抱き締めそうになったが外で抱き合っていたら完全にヤバい人達だし、ラミにも申し訳ないのでやめておくことにした。それから1度見つめあって、僕は唇を噛み締めインターフォンを鳴らすと顔自体は整っているがどこか品性がない派手な格好わした女性が怒鳴りながら出てきた。ちなみに僕の彼女への感想が辛口なのはラミを苦しめている人物であり、どうしても良心的な見方は出来ないからである。

「っさいわね!なみちゃんが起きちゃうでしょ!」

とラミと勘違いして母親は怒鳴ったつもりだったのだろうがドアの目の前には僕が立っていたので母親はどこか呆けた様子で立ち尽くしている。そんな母親に

「夜分遅くにすみません。娘さんとお付き合いさせて頂いてる羽一と申します。ラミさんは今少し色々辛いみたいでして。僕の家に居たら楽との事ですのでまた今夜からラミさんがうちに泊まっても良いでしょうか?」

と穏便な交渉を目指しているのでなるべく穏やかに微笑みながら呟くと母親は

「無理ですね。明日私の夫が帰ってきますので。娘がいないと困ります。」

「そこを何とか!」

とこのような不毛なやり取りが5分くらい続き母親は痺れを切らしたのか本性を見せ初めていた。

「ったく。ラミも男連れ込んで。だから私はいやだったのよ。」

と自ら結婚と言う制度を使い継母と言う立場になったにも関わらず娘であるラミに悪態をつき始めた。僕も怒りの感情が芽生え始めたのとこのままでは何も始まらないので

「なら、はっきり言いますけどあなた虐待してますよね。言葉で罵ったりする精神的虐待。外に放置する身体的虐待。そんなゴミみたいな母親がいる環境に大切な彼女を置いておけるはずがないでしょう。」

「そんなことするはずないでしょ!義理とはいえども母親よ!」

と母親はあくまでもシラを切るつもりのようなので僕は畳み掛けるように

「まず身体的虐待の外に放置するなどの証拠はラミさんとのLimeの記録でわかるんじゃないですかね?」

と僕が諭すと母や血走った目でスマホをいじり始める。

「あー。無駄ですよ。今の時代トーク記録って消しても警察は復元出来ますので」

「それと、精神的な虐待についてもLimeでの暴言での記録は勿論の事、あなた相当甲高い声してるので怒鳴った声近所に聞こえてるんじゃないんですかね?多分児童相談所の人が聞き回れば証言はとれますよ。」

「あああ!うざい!うざい!こんな、あの女に似てるクズなんて生まれなければ良かったのに!!!」

母親のこの発言によりラミの瞳から光が徐々に失われていっていた。当然だ。義理とはいえ実の親にそんなことを言われては精神的にくるものがあるだろう。僕も殺意が胸の奥底から沸いてくる事を感じていた。

「はあー。クズはどっち何ですかね?女として負けてるラミの母親にラミ自身が似てるからって虐待するやつはクズ以外では言い表せないと思うのですが。選んでください。虐待を通報して社会的に死ぬか。このままラミが僕の家に帰ることを許可するか」

すると母親はドアをドンッと殴り家に入ってしまった。つまり後者を選んだということだろう。

「ラミ帰ろっか」

と言い僕がラミの小さくも肉付きの良い体に抱きついた。ラミの体は言葉で言い表せない程にとても柔らかくいつまでも抱いていたいような感触だった。僕が抱き締めてからすぐにラミが僕の背中に手をかけた事がわかる。それから10分後くらいに僕たちは抱き合うのをやめ家へと歩みを進めるのだった。


~作者から~めちゃまだ続きます!!(*≧ω≦)


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