嫉妬

「...羽一ってモテるんだね...」

とあれから数時間たち自室で、ラミが可愛らしく恨めしげな表情で僕を見つめてくる。

「モテるってなー....渚だけだろー。しかも、今は恋愛対象じゃないらしいし、モテてはいないだろ」

「小崎ちゃんだっけ?あきらかに......」

とラミがどこか不安げに僕の服の裾を小さな手で掴みながら呟く。

「んなわけないだろ」

と僕は小崎の名誉とラミの不安を解消するために呟くとラミがどこか期待を含んだ視線を向け僕の肩に寄りかかり呟く。

「...なら、あたしの事は...どう思ってるの?...」

ラミは羞恥からか、腕をパタパタと上下に動かしている。だが、僕としてはそれどころではなかった。

「し、親友で一番親しい人だと思ってるよ...」

と僕が少し誤魔化すように呟くとラミがほぼ聞こえないくらいの弱々しい声色で少し悲しそうに

「...私は羽一のこと...大好きなのに...」

と呟いた。

僕はラミと自分は釣り合うのだろうか?といった疑問やラミを傷つけたくないといった思いが脳裏を支配し、Yesと言う単純な答えを言えない自分の弱さや情けなさから

「ごめん...ちょっと用事思い出したから外出るね」

と言い家を逃げるように去るのだった。


静けさが感じられる駅前の公園で1人ブランコをこいでいると後方から聞き慣れた声が聞こえた。

「おーい。しょーねん!こんな時間に外であるいてると補導されるよ?」

と冗談げに大学終わりなのか少し着飾っている舞さんが僕の隣のブランコに座り出した。

「......」

僕は舞さんとしゃべる気にも慣れず沈黙を貫いていたら舞さんが僕の苦悩をさらにえぐるように

「...さては、ラミちゃんと何かあったでしょ?」

とこっちの気も知らずゲラゲラと笑いながら言ってくる。

「なぜわかった.....」

「そりゃーさ。羽一ちゃんメンタル鋼だから並大抵の事ではそんな感じにならないじゃん。」

「しかも、羽一ちゃん興味がない人にはいくら嫌われても良いとか言うくらいにはあんまり他人に興味ないみたいだし、そりゃー悩みの種と言ったら可愛い可愛い彼女のラミちゃんなのかと」

そうなのだ、僕はいじめられて以来正直親しい人以外には興味を失ってしまってどうでも良くなってしまったのだ。

「んでー。どうしたの?」

と僕は舞さんに聞かれたので躊躇いつつも全て事の顛末を話すことにした。僕は僕とラミの事を知っている舞さんの意見も聞きたい思ったからだ。

「なるほどねー。とりあえずラミちゃんが可哀想って事が第一感想だよね。ラミちゃんは周りに何か言われる事とかを考えた上でアプローチしてるんじゃないのかな?賢いんだし、それにラミちゃんの思いを無下にするのが一番ラミちゃんにとって辛いことだと思うよ。」

僕はハッとした。結局僕はラミと付き合う覚悟が出来てなく言い訳をしていたのだ。

ラミの思いを組み自分自信の思いを伝えよう。僕は自分自身の頬をベチッと叩き

「目が覚めた、ありがと」

と舞さんに呟きラミがいる家へと向かうのだった。


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