催眠術を覚えた俺は自分の欲望の為に使う事にした件

まさひろ

第1話 口の悪い妹には制裁を

 桜が舞い散る4月。

 俺こと上杉涼太うえすぎりょうたは進学先である高校への道を歩いている。

 そしてその横には紺色のセーラー服を身に纏い、ポニーテールを揺らしながら肩を並べて歩く女子がいる…。


 いや、女子・ ・と言う表現はあまりよくないな。

 俺の妹の上杉穂香うえすぎほのかが歩いている。

 穂香ほのかは俺の一つ下で今年から中学三年生になる妹だ。


 俺から言うのもなんだが妹は見た目が可愛い。

 どうしてあの父と母からこの可愛い顔の妹が生まれて来たかは今だに謎だ。

 謎の理由かって?

 俺も同じ父と母から生まれたのだが…なっなぜカッコよくないんだ!

 まあ…親に文句を言ってもどうしようもないのだが…。

 だが俺も一応高校1年にして身長が170近くあるのだからそこだけは満足している。


 妹はと言うと身長は155センチくらいだが…その兄の俺の口から言うのもなんだが、出る所はしっかり出て…まあ、ようするにナイスプロポーションってやつだ。

 いや、決して妹をそうゆうな目で見ている訳では決して、決してない!

 うん、ないぞ…たぶん。

 

 そして、なぜ高校生になる俺と中学生の妹が一緒に歩いているか?と言うと、俺の進学先である県立東高校は俺の通っていた東中学校の直ぐ隣にあるからだ。

 まあ、隣と言っても200メートルくらいは離れてはいるのだが、中学と高校では授業スタートが少し高校の方が遅い為こうやって一緒に登校している訳だ。

 中学の頃からいつも一緒に登校していた訳ではない。

 実はこうして一緒に歩いているのは少しがある。

 話をさかのぼる事15分ほど前の家の中の出来事だ。


 *


 「今日から二人共新しい学年と学校ね」


 食卓で俺と妹そして母の3人で朝食を食べている時に母がそんな会話をし出した。


 「うん。とっても楽しみ。又、みっちゃんと一緒のクラスになれるといいな」


 妹が母の話に合わせ答える。

 みっちゃんとは妹の中学校からの友達だ。

 数回家にも来た事ある子だが妹とよく似たタイプの可愛らしい子だ。

 あっ可愛らしいと言っても別に狙っている訳ではないぞ。

 みっちゃんが来た時に挨拶する位の関係だ。


 「そうね。でも新しい友達を作るのもいいんじゃない?」


 母が微笑みながら妹に語り掛ける。


 「う~ん。まあ、友達が多いにこしたことはないから、頑張って作ってみようかな」

 「そうそう、頑張ってね」


 俺は妹と母の会話を聞きながら無言で朝食のパンを咀嚼する。

 頼むから俺には友達を作るとかの会話を振るなよと思いながら。

 俺は中学ではボッチではなかったが友達は片手で足りるほどしか出来なかった。

 いや、オーバーに言いました。

 すみません…3年間で一人しか出来ませんでした。

 

 俺は俺なりに頑張った。 

 どう頑張ったかって?

 それは…いや、今は考えたくない。

 俺は母と妹の会話から逃げるように食器を片付けよと席を立った瞬間に、俺の行動が丸見えとばかりに妹が俺に会話を振ってきた。


 「で、お兄ちゃんは高校でもボッチで学校に行くの?」


 妹からの強烈なパンチが俺のボディーに突き刺さる。

 いや、決して物理的に殴られた訳ではないが、俺の心にグサリと刺さる一撃が入る。

 俺はチラリと妹の目を見るとその目は少し俺を笑うような目つきになっているように見える。

 いや、決して妹は悪意あって発した言葉とは言い切れないが、俺にはどうしてもそう聞こえてしまう。

 いやいや、妹をかばう様に言ったけど妹のその目は絶対に!絶対に!悪意あるでしょ!

 俺は心を落ち着かせようと一呼吸してから口を開こうとしたがその前に母からの声が上がった。


 「穂香ほのか。お兄ちゃんにそんな事言っちゃダメでしょ。ちゃんと謝りなさい」


 母から妹へ強い口調ではないが叱責しっせきが飛んだ。

 俺は心の中でナイス母よ!母だけが俺の味方だよね。

 俺は心の中で歓喜を上げる。


 「はぁ~い」

 

 妹は少し口をがらせて母に返事をし俺に向き直った。


 「ごめんなさ~い。以後気をつけま~す」

 

 妹は謝った後舌を出して俺はバカにするような仕草をした後、サッと席を立って洗面所へ脱出を図った。

 俺はその光景を茫然ぼうぜんと眺めるしかなく少し立ち尽くしていると母から声が掛かった。


 「穂香ほのかはそうゆう年頃だから怒らないでね」


 母からフォローが入ったので俺は頷いて答えるのみにした。

 だが、俺のハラワタは煮えくり返っていた。

 どうせ俺はボッチだよ!

 なら、ボッチじゃなくなるように穂香ほのかに協力してもらわないとな!

 そして俺は復讐しようとたくらんだ。


 俺は素早く高校に行く用意をして玄関から外に出て妹を待ち伏せした。

 口の悪い子には少しお仕置きをしよう…俺の得意の催眠術さいみんじゅつで。


 そして何も知らない妹が玄関より姿を現した。

 妹は何で先に出た兄がまだここにいるのと少し不思議な顔をしていたので俺は先手を取る。

 俺は妹に一歩近づき少しだけ妹に接近する。


 「穂香ほのか!」


 俺が声を掛けると穂香ほのかの目が俺の目をとらえるの見計り、俺は右手を穂香ほのかの目の前に出し親指と中指をはじいて『パチン!』と音を鳴らす。


 音を鳴らした瞬間に少し穂香ほのかの目が驚きの目から少し眠そうなトロンとした目に変わる。

 そう、催眠術成功の表情だ。

 そして俺は妹の穂香ほのかに命令を出す。


 「お前は俺の隣を歩いて学校に行く」

 「うん。わかった」


 穂香ほのかは頷いて答えた。

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