第5話 淫桃花の夜
雪村が
その日の夜は、夫婦二人の淫楽の夜だった。大昔の美酒にこのようなものがある。
2人の女を大きな器の中に入れて、その赤い水の中に入れると淫桃花の実の成分が身体に染み込み、やがて眼の中まで紅く染まると、2つの蛇のように身体を絡ませ、やがて悦楽のエキスが出る。その紅い液体こそ、淫蛇湯と呼ばれる最高の美酒なのだ。それはどのようなビンテージワインをも敵わない馥郁たる味だという。太古の昔。権力者が夜の営みの際に口にしたという美酒である。
岸谷うららは主に海蛇3姉妹の世話係を務めるメイド。しかし、度々行われる夜の宴の肴にされる事が多い。メイドの中でも特別に美しく、そして女性とも交わる事が出来る人間だからだった。
若草かりんは、あどけない少女で、海蛇家に入ってまだ2ヶ月と日が浅い。年齢も1番年下で、周囲のメイドからはドジっ子だが可愛いと評判だ。髪の毛は黒髪で、潤んだ黒い瞳も思わず保護欲を刺激するものがある。
今夜の宴にこの2人を選んだ諒は、早々に温泉に入った。向こう側の女湯には妻の美雪も入っている様子だ。男湯と女湯がそんなに離れていないので、会話を交わすにもそんなに大声で話す必要はない。
「あなた。そこにいるの?」
「ああ。いるぞ。君の後ろにいる」
「ねぇ、あなたも好きね。あの宴。今夜の美酒も美味しいかしら?」
「楽しみだな」
諒は目を閉じて少し笑った。
「あなたって本当にヤリたがりね」
女湯から美雪が男湯に浸かる諒を見つめた。体を諒に見せる。湯煙が美雪を更に魅力的にしている。
諒は背中を預け、腕を何気なく組む。片方の青い瞳は不思議な輝きを見せた。
「そういう君も好きだろう?」
「今夜の生贄は誰かしら?」
「それはお楽しみに。雪村君の前で2人で楽しむのは気が引ける。待っていなさい」
「わかったわ」
覗き込むのをやめた美雪は、そのまま温泉から上がった。そして諒も雪村が来る前に温泉から上がった。
彼ら夫婦が温泉に入っている間に、雪村は千秋にテスト用紙を渡し受けさせた。これで今、千秋にどの程度学力があるかを判断する。テスト時間は4教科で2時間程。待っている間に雪村は温泉に浸かりに向かう。
道すがらに諒と会う雪村。諒は風呂上がりという事で特徴的な灰色の髪の毛を少し濡らしていた。服はバスローブ。何処かその姿は西欧人に似ていた。
「諒様。こんばんは。風呂上がりですか?」
「そうだよ。雪村君はこれからかな?」
「はい。先程まで家庭教師の仕事をしておりました」
「夜遅くまで御苦労だな。ゆっくり温泉に浸かってくるといい」
「はい」
笑顔で雪村に応えた諒は、そのまま2階にある夫婦の寝室に入っていった。
そこには人間が2人も入れる特別製の器が用意されていた。中には、うららとかりんの2人が紅い液体に浸かっている。中の2人は、主、海蛇諒に喘ぐように言った。
「旦那様…」
「そうか…かりんは知らないね。この宴を?この器の赤い液体は簡単に言えば君達の性欲を煽る効果だ。そして目の色が紅く染まると君達は2つの蛇のように絡まる。そしてお互いに求める。目の前の快楽を。そして君達の愛液が混ざると馥郁たる美酒の完成だ。今夜は私達の為に絡んで見せてくれ」
「旦那様。うららさんと絡むのですか…?」
「うらら。教えてあげなさい。この屋敷では快楽に身を任せた方がいい事を…」
「大丈夫よ…かりんさん。私に任せて…?」
そして、うららがかりんと交り合った。
とろけるようなキスを交わすうらら。既に何回も宴に呼ばれるうららはキスの雨をかりんに降らせる。あどけない喘ぎ声を上げて2人が絡まり出す。
それを観ている
「ハアッ…ハアッ…ンフゥ、あなた」
「興奮してきたな…美雪…ンンッ…!」
「ネェ…アソコを舐めて…!あなた」
「フフ。本当に好きだな…そのプレイ」
美雪の浴衣を全部脱がし、諒が激しく花びらを愛し始める。
「アアン!スゴイ…感じちゃう…!もっと、もっと、舐めて…!あなたの舌をちょうだい…!あなた…!」
「今夜も感度は抜群だな…ほら…ほら…美雪…喘いで」
「アアン!アン!イイっ…イイっ…好き…コレ…大好き…ィ」
「一度、いこうか……美雪」
「あハァ…アアン…諒…!諒…イク…イク!」
そして綺麗な声で絶頂にいく美雪。花びらは痙攣して夫を切なく求めた。
「綺麗だよ……美雪。ほら……器の中も、君の中も…燃えてきた…!」
大きな器の中も今は2つの蛇が絡まり合っていた。お互いの花びらを擦り合わせ、目の前の淫楽を求める、うららとかりん。
かりんの眼の色が紅く染まる。うららも紅く染まる。
快楽の叫びを聴く海蛇夫妻。
大きな器の下には蛇口があった。そこから淫蛇湯を捻り出す諒。
そして、美雪にグラスを渡し、自分のグラスにも注ぐ。
「最高の美酒だ……乾杯だ…美雪」
「乾杯。諒……愛しているわ」
「俺もだよ……美雪」
絡まる2人のメイドは観られている事を忘れ、ひたすら貪り合う。
いい光景だ。蛇の交尾みたいに見える。
紅い液体を飲んだ2人は、また激しくキスを交わした。
そして床に倒れ込む。
諒がまるで人が変わったように美雪を抱き始める。ふくらみをねちっこく舐めて、激しく舌を這わす。
そして充分に大輪の花となった場所に己を入れる。腰を踊らす諒。美雪の喘ぎ声で更に興奮した。
「そうよ!もっと、もっと、深く来て!諒!諒が欲しいの!」
「好きだよ、美雪。その声、その身体、その心!君は俺の女だ…!」
「私も……諒の声、諒の身体、諒の全て、大好き…!」
「ウッ!ウッ!美雪…そろそろくる…!」
「来て…!来てぇ!諒!」
嵐のような快感に諒も美雪も飲み込まれていく。一度目の絶頂が来ても、収まらない。美雪の激しく喘ぐ声が掻き立てる。
宴が始まり何時間経過したのか……。
彼らは床に座り、器の2人を肴にして、ほぼ一晩中交わり合った。
美雪の身体には諒の愛の痕が刻まれている。夫の愛液にまみれて歓ぶ美雪。そして諒も笑う。そしてまたキスを交わした。
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