第10話 吉報?悲報?

「あら、ルークこんにちは」


「こんにちは、メーテルお姉ちゃん。あっ、そう言えばカーネルおばあちゃんがこの前ありがとうだって」


「そっ、良かった。また、何かあれば言ってくださいって伝えてくれるかしら?」


「うん、わかった」


 そう言って、私たちの家から飛び出していくルークに手を振る。


「ただいま」


「おかえり」


 私が挨拶をすると、ユリウスが何かを読みながら返事をする。

 あれから、1年。

 私たちはその村でゆっくりと過ごしていた。


「この前って何かな?」


 読むのに夢中に見えて、さっきの話まで聞いていたなんて流石元ユリウス大臣。5つのことを同時できるという噂は本当だったのかもしれない。


「あぁ、この前カーネルおばあちゃんのサニーレタスが病気にかかっちゃっていたの。だから、治してあげたの」


 最初は人見知りが発動してしまったし、この地方の訛りについていけてなかった私だったけれど、みんないい人たちばかりだし、ユリウスが通訳や橋渡しをしてくれたので大分馴染むことができた。


 バッサンッ


「あっ、新聞かしら。取ってきてあげるわ」


 私は外に出て、ポストを開ける。


「・・・っ」


 私は言葉が出なかった。

 いつもユリウスが読むから取っていた新聞だけど、私は思わず文字を目で追っていく。

 暑い日差しの中で、太陽の光も眩しすぎて、読むのも明るすぎて少し目が痛くなるけれど、私は読むのが止まらなくなってしまう。


「どうかした?」


 心配になって見に来たユリウスの声に私は振り返る。


「私たちの国が・・・みんなが、死んじゃう・・・」


 私は熱いのに顔が冷たくなっていくのを感じた。

 これが、血の気が引くって言うやつだろう。突き落とされて死にかけた時にすらならなかったのに、今の私の顔は青ざめていたに違いなかった。



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