第6話 大臣の礼儀作法
「そいつはもう、姫じゃないっ、ユリウス。その女をそのまま連れてこい」
アドルド王子の言葉に私を見るユリウス大臣。
けれど、私は怖くてユリウス大臣の顔を見れないし、震える自分の手を私は胸の前で抱きしめるように重ねた。
「どうして、姫じゃないんですか?今までメーテル様と婚約していたはずでは?」
「あら、いい男」
ユリウス大臣のきれいな声にアテネシア王女は片手で顔を抑えながら、ユリウス大臣を見ている。
「ぬ・・・っ、いいから連れてこい?」
焦りながら、怒号を飛ばすアドルド王子。
「これはこれは、アテネシア王女。挨拶が遅れました。この国で大臣をやらせていただいておりますユリウスと申します。以後お見知りおきを」
ユリウスは左胸に右手の拳を重ねながらアテネシア王女に挨拶をすると、嬉しそうに手を振るアテネシア王女。
「チャオ・・・わぁっ」
そんなアテネシア王女に肩を組んでくるアドルド王子。
「俺はアテネシア王女と結婚するんだ。だから、その女はいらん。なんたって、豊穣な魔女が聞いて呆れる体型だからな。妾であっても俺を満足させられぬわ。あーっはっはっはっ」
最高の景色を見て、綺麗になった心は再び悲しみの影がかかってきた。
この世にいる限り、暗い気持になってしまうのであれば、あのまま落ちてしまえば良かったかもしれない。
「じゃあ、アプローチしてもいいですか!?」
私は顔を見上げると、ユリウス大臣のちょっと照れたかわいらしい笑顔がそこにはあった。
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