夏祭り。



慣れないゆかたの着付けに時間がかかって

あっという間に待ち合わせの10分前。



「やばいやばい!あ、財布!」


「あれ、イヤリングどこ置いた?!」


「え、こんな時間!いってきまーす!!」



焦って家を飛び出たから忘れ物が心配だ。



ちょっと背伸びして買ったヒールのサンダルを

ほとんど引きずるようにして走る。



「……セーフ!」


到着と同時にきたバスに乗り込む。



「あっぶな、乗り遅れるとこだった…」


思わず声に出てしまい慌てて口を押さえる。




チョコバナナにカステラ、りんご飴…


何から食べようかなー



バスに揺られながらそんなことを考える。




時折、珍しくおだんごにした髪の毛を

ちょこっと触って崩れていないか確認する。


たまに、耳たぶに触れてイヤリングがちゃんとついているかどうかも確認する。




終点のバス停でほとんどの乗客が降りる。


私もその1人だ。



あ!

時計を確認する、グレーの浴衣の人を発見。


制服じゃなくても後ろ姿で分かるもんね。




「……わ!!!おまたせー!」


「びっくりした、おどろかすなよー」

と振り向いたのはいいけど、


…変に固まるのやめてよね。



緊張するじゃん。




……え、なに?


いつもと雰囲気違うから緊張してんの?



そこは、かわいいねとか言うとこー!







………まだ何も言わない!!!


……てか、こっち見ない!!!



早くわたがし食べたいから、

自分から聞いちゃおーっと。



「あー、彼女が可愛すぎて見れないんだー!」



……え、なんか言ってよーーーー


こっちが恥ずかしいでしょー!



「ね!かわいいでしょー??」












「…うん」












…え、マジな顔で言わないでよ。


…その顔が真っ赤なのがうつるじゃん。

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