1 .僕は謎の世界に、転移する。

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「うっ……」


 ここはどこだろう。

 ぼんやりした目をこする。


「家の中?」


 見覚えのない家。


 まさか、拉致か!

 また前みたいに臓器売買されるかもしれない!


「やあやあ、立石君!」


 そんなとき、ドアを開けて誰かが入ってくる。


「……」


 なんだこれ?

 どうしてこの人は、甲冑を着てるんだ?


「あ、あの!」


 僕が話しかける間にも、ズカズカと歩いてくる。


「ここは!」


「グサッ」


 そう言って、謎の人物は僕のお腹に剣を優しく当てる。


「ここがチュートリアルなら、死んでたよ、君」


「チュートリアル? 死んでた?」


 なんのことだろう。


「まあいい、説明を始めるよ」


 説明?


「君の彼女、まこちゃんはこの私が頂いた!」


「え!?」


 頂いたって、どういうこと!?

 こいつ、やっぱり臓器売買の輩か!?


「返してほしければ、試練を乗り越えよ!」


「し、試練?」


「それでは、さらばだ!!」


 甲冑をガチャガチャさせながら、ドアから出ていく。


「……あ!」


 立て続けの展開に呆気にとられていた。


「待て!」


 いそいで追いかけ、ドアを勢いよく開けた。

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