理不尽に扱われれば恨みもするし憎しみを募らせるのは事実だよね

虐げられてきた奴隷達の反乱は、この国とは直接の交流のない国で起こった。そこでは奴隷の扱いはここより酷かったらしい。なにしろ、貴族の遊びとして森に奴隷達を放ってそれを狩るということが平気で行われてるって話だった。


その手の、直接は交流のない国の話も、流通がそれなりに発達してることで、それを担ってる人間達が行った先で見聞きしたことを他に伝聞するという形で広まってた。


で、その国の奴隷達は、そうやって遊びで殺されるっていうのに耐え切れなくなって、『死なばもろとも』って感じで反乱を試みたらしい。しかも結構いいところまで行って、王様をお城に追い詰めたりもしたんだって。だけど支援を要請した隣の国から援軍が来て、結局は鎮圧されたと。


ただこの話はそこからが実は本番で、奴隷の反乱に怒った王様が見せしめにということで反乱に参加した奴隷全員と、その奴隷を売った業者まで処刑してその死体を串刺しにして城下のあちこちに晒したりして、その死体が腐敗した上にそれを食べたネズミが繁殖し疫病が発生、大流行して多数の死者が出たってことだった。


しかもそれだけじゃなくて、奴隷を大量に処刑したことと疫病で多くの犠牲者が出たことで労働力が急激に減少。さらに奴隷業者まで処刑した所為で他の業者に敬遠されて新しく奴隷が買えなくなり、焦った王様は自前で奴隷を集めようとしてあまり仲の良くなかった国に攻め入ってそこの人達を奴隷にしようとして、でも攻め入られた国の方ももちろん黙ってなくて他の国に応援を要請して反撃、遂には王様を捕えて処刑して、攻めてきた国を逆に乗っ取ってしまうっていうオチが付いたって。


この話自体は既に何十年も前のことらしいけど、それからも分かる通り、奴隷だって本当は人間だ。理不尽に扱われれば恨みもするし憎しみを募らせる。たとえ奴隷がいないと成り立たない社会であっても、それだからこそその辺りのマネジメントを誤ると大変なしっぺ返しが来るってことなんだろうなって思った。


国が一つ滅ぶほどじゃないにしても、似たような話は他にもあると思う。私はそういうこともちゃんと頭に入れておきたい。いきなり奴隷解放なんて過激なことをしようとすればそれはそれで大きな戦争のきっかけになったりもするだろうから、戦争をなるべくなくしたいから飢餓をなくしたいという私の目的からすれば本末転倒になってしまう。


いずれ流れの中でそんな感じの動乱の時期を経るとしても、正しい目的の為なら手段を選ばないっていうのは避けたいんだよね。


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