うわ~…何この絵に描いたみたいなヒネクレイヤミキャラ
はっきり言って、奴隷達は役に立たないと<処分>されるからそれこそ命懸けで仕事をこなそうとするけど、軍人は、確かに戦闘になれば命も賭けるかもしれなくても普段は訓練さえ『それなりに』こなしてればクビにもならないっていうんで、どうしてもそういう空気が蔓延してしまいがちなんだって。
しかも訓練も本当に厳しいものならともかく、年々内容が緩くなっていってるらしい。
それを思うと、七十年も戦争なかったのにすっごく鍛えられてるって話をよく耳にした自衛隊ってすごい組織なんだなと思ってしまった。
自衛隊の規律や練度を維持する為のメソッドとかを導入できたらもしかしたらそれはそれで役に立ちそうだなとは思いつつ、私はそっちはホントに表面をなぞった程度の知識しかないので下手に手出し口出しはしない方がいいかと思って自重した。
なんてことを考えながら見守ってると、作業を説明する為に現れたバンクハンマに対して、バンクレンチが露骨に嫌そうな顔をした。それに気付いたバンクハンマの顔がみるみる険しくなる。
「レンチ、お前、不満そうだな」
つい、って感じで声に出てしまった彼に、バンクレンチは「へっ…」って感じで鼻で笑って、
「別に~。ただ俺は、土塗れになるようなダッセぇのとかしなくてもいい暮らしできてるから幸せだな~と思っただけでよ」
うわ~…何この絵に描いたみたいなヒネクレイヤミキャラ。テンプレ過ぎて変な笑いしか浮かばないって。
とか私は思ってしまったけど、仮にも兄弟じゃあ笑って済ませられなかったみたい。バンクハンマの表情が無くなったのは、頭にきすぎて逆に感情が麻痺してしまった感じだったのかも。
「隊長さん…作業に入る前に、こいつらがどの程度使い物になるかちょっと試させてもらっていいかな…?」
「あ…ああ。そうですね。是非」
バンクハンマが隊長にそう断って、バンクレンチの前に立って言った。
「なら、お前がどの程度のものか、俺に見せてくれよ。まさか土いじりばっかりしてる相手にビビったりはしなよな……?」
無表情のままのバンクハンマに、バンクレンチは、
「はあ? 俺が軍に入る時にゃもう勝てなかったクセに、何いまさら兄貴風吹かしてんだよ。軍で訓練受けてる俺に勝てる訳ねーだろ」
「四の五の言ってないでかかってこいよ。余裕で勝てるんだろ? なら証明してみせろ」
「てめ…っ!」
カアッと顔を赤くしたバンクレンチが、バンクハンマの腰にガッとしがみつく。そしてそのまま押し倒そうと―――――して、できなかった。バンクハンマがぐっと腰を落とすと、そのままの姿勢でザーッと後ろに滑っただけなのだった。
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