私の秘密
タマサトエリ
私の秘密
私には秘密があるの。
あなたが愛を打ち明けてくれた夜、
空は輝く星で満ちていたわね。
温かく柔らかい風の中、
きらりと光る星を見つけて嬉しそうに微笑んだあなたの横顔、
ずっと忘れないわ。
今でも時々二人で星を眺めるでしょう。
その時星がホワンと瞬くのは、私の友達が空を見上げた私たちに気がついて、
こちらに手を振っているからなのよ。
きらりと光ったあの夜の瞬きも、みんなが祝福してくれていたの。
告げたなら、壊れてしまうかしら。
こうして愛しいあなたの寝顔を見ていると、
胸が苦しくてたまらなくなってしまうけれど。
私はあの光る星から来たの。
広い宇宙だもの。
遠くにも、海のある星はあるのよ。
淡い虹色をした海があるのが私の星。
この海水で作ったお塩は、瓶の中でもほんのりと虹色の層を作って、
栄養もたっぷり。私の星でとても人気なの。
きらきらたくさん夢があるあなた。
いつもにこにこ教えてくれるでしょう。
以前倒れてしまった時、
死んだら星になって君をずっと見守るよ。なんて言うから、
薬指にふわりとのせて、閉じかけた唇の中に、入れてしまったの、星のお塩。
一度だけ、人間を救うために使うことができるのだけれど、
その代わり、二度と地球に生まれ変わることはできないルールがあるの。
だからね、あなたとはもう永遠に巡り会うことはできないわ。
年に一度、地球の空に星が降る夜に、
故郷の星に帰ることが許されているから、
流れる星に乗せて届く羽衣を纏って、取りに帰っているの。
あなたのお気に入りのスープがあるでしょう。このお塩を使っているのよ。
一度使ってしまったんだもの、これからもたくさん使って、美味しいものを
いっぱい作るわね。うふふ。
一日一日、あなたとの素敵な思い出を魂に刻んで、星に持って帰るわ。
まだまだ先のお話。
静かな夜ね。
今年ももうすぐ羽衣の届く頃。
地球時間の8分間だけ離れて、みんなに挨拶をして、おしゃべりもして、
お塩を取って戻ってくるわ。
そっとおでこにキスをして…。
待っててね.:+*。
私の秘密 タマサトエリ @tamasato_e
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