(三)-2

 豊永は木野のことをにらみつけていた。日焼けした顔に眉間にしわを寄せて目を怒らせていた。

 まぁ、そりゃあそうだ。自分たちが立案した強盗計画で大金を盗んだのに、肝心の金を横取りされたのだから怒るのも無理もない。

 よく見ると、豊永はスポーツ刈りの頭と筋肉質な体付きから想像するに、武闘派だ。白いシャツにスラックス姿であったが、スポーツや格闘技をやっている、または過去にやっていただろう。ただの肉体労働者ではない。元警官か、軍人か。交番脇のお尋ね者ポスターに顔写真が掲載されるような経歴の持ち主かもしれない。かなり危険な状況だと木野は悟った。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る