(二)-23
「会社で人手が足りないって相談されてね。それにしても社長にはそういうことはするなと言ったんだがなぁ」
何を今さら。豊永は声のトーンを低くし、強い口調で「あなたが、金を持っているんですよね」と弁護士を追撃した。実際のところどうなのか、ヒントだけでも、相手の動揺やちょっとしたボロでもいい。なんとかして反応が欲しかった。
「何故、私が持っている話になるんだ。そもそも証拠は?」
「ありません。しかし計画のことを知っているのは、私と社長だけのはずなんですよ」
弁護士は車を出した。ただ、豊永の質問に答えず、黙ったまま車を走らせていった。
この沈黙こそ、十分すぎる証拠だ。思わぬ成果に豊永は内心ほくそ笑んだ。
(続く)
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