第20話 ベスト4

さてそんな訳で格闘大会は選手が4人に絞られた。

お昼休憩を挟んで、午後また試合開始。


2人目:ナッシーことナシール副団長

3人目:アザぼんことアザム団長

4人目:テトラことティトラウステス、認めたくないけどアタシのアニキである。


そして最初の1人がアタシ、ステュティラちゃんなのだ!

ふっふっふ。

アタシの出番が来たわ。

アタシが敵わなかったパルミュス先輩も消えた。


アザぼんやテトラは強敵。

アタシの次の試合はナッシーと。

ん-ー、ナッシーか。

愛し合う者同士の戦い。

ドラマティック?


「ステュティラちゃん、声に出てるよ。

 ナシールさんと愛し合ってる妄想をステュティラちゃんがしてる、って言う他の人に聞かれたらデンジャラスな内容が垂れ流しだよ」


………………あらっ?!


アタシは昼休憩でファオランの出店で買った包子パオズをパクついてた。


「すごいね、ステュティラちゃん。

 16人もいたのに、ベスト4に残っちゃったよ」

「トーゼンでしょ」


そう答えはするけど、ホントのところアタシは素手格闘に自信は無い。

剣ならまーまーベスト4どころか、父親以外には負けないと思える。

武器が無いとなると、やっぱり体格がモノを言う。

他の人間は成人した男たち。

アタシはもうすぐ13歳になる美少女。

体の大きさで負けてるのはアッタリマエ。


ベスト4かーなぁんて思ってたら、ついでに変な妄想まで口に出してしまった。

いいのよ、景気づけ。

せっかくのイベントでお客さんも入って盛り上がってるし。

そのくらいのドラマがあってもいいじゃない。


「ええっ?

 あの娘だれなの、ホントにナシール様のお気に入り?!」

「ウソに決まってるわ。

 まだ子供じゃない。

 ナシール様に優しくしてもらってナニか勘違いしてるのよ」


女性客たちがアタシの方に敵意の混じった視線を投げてくる。


ナニよ、やるってんなら相手になるわよ!


「ストップ、スゥトォップ!!!

 ステュティラちゃん、誰彼かまわずケンカ売らないで」


エステルに止められる。

むぅ、まぁ仕方ないかしら。


誰かがアタシと女性の間に割って入る。


「あはははは。

 そーなんすよ。

 コイツ妄想激しくて、子供の言うことなんで気にしないでください」


このヘラヘラした笑い方、アレシュじゃない。


「誰が妄想激しいって?!」

「ステュティラちゃん、アレシュさん助けてくれたんだよ」


それは何となく分かるけど。

それはそれ。

これはこれなの。


アタシはヘラヘラ笑ってるアレシュにグーパンかましてやった。

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