第75話 投げ矢

黒いマントを羽織った男たち。

夜の暗がりに紛れてるけど、猫の目まで誤魔化せるもんですか。

わたしの目の虹彩が金色の光をはにゃつ。

ハッキリ視界に写った暗殺族に対してわたしはパピルザクをにゃげつける。


風を切って飛んで行くサソリの魔物ダェーヴァ

あらっ。

にゃかにゃかすばしっこいじゃにゃい。


影の様にゃ男たちはパピルザクを避けて見せた。

にゃら次々行くわよ。

わたしの周りにはブッ倒したパピルザクが多数。

ハジからにゃげちゃうわ。


尻尾の尖ったサソリの魔物ダェーヴァ

尖った部分を先端にしてよーく狙って、と放りにゃげる。

まるでダーツね。

相手が吹き矢を使うにゃら、わたしもにゃげ矢ダーツで対抗よ。


倒れたパピルザクだけじゃにゃい。

わたしを襲おうとしたパピルザクまで捕まえてわたしはにゃげ続ける。

黒いマントは羽織った男たちは躱していたんだけど、さすがに一人が喰らった。

人間大のサソリが全面衝突。

完全にゃるノックダウン。


「くっ。

 何がなんだか分からんが撤退するしかないか。

 しかし……

 標的だけは仕留めておく」


残った男がジグザクと不規則に移動してわたしのパピルザクの矢を躱す。

向かう先は皇子じゃにゃいの!


ふざけんにゃ。

わたしはパピルザクを追加でにゃげようとするけれど。

すでに黒いマントに身を包んだ男は、護衛の近く。

これでにゃげたら、皇子の護衛まで巻き込んじゃうわ。


既に護衛の人は意識が朦朧としている。

皇子に近づく、暗殺族セムへと剣を向けるけど。

まともに身体が動いていにゃい。


そんな護衛へ、黒い人影は細にゃがい筒を向ける。

アレってば吹き矢よね。

ダメよ。

その矢に毒が有るんでしょ。

ただでさえダメージを受けている護衛の戦士。

その身体にさらにそんな矢を喰らったら……


と、わたしが焦った時には筒からにゃにかが飛び出ていて。

暗闇に一瞬の光。

細い矢の先端、金属部分が月明りに煌めいて。


護衛の人の頭部に矢が刺さってしまう。


そんにゃ光景がアリアリとわたしの脳裏に描かれたのだけど。


あれ?


護衛の男の頭部には何も刺さっていにゃい。

狙いを外した矢がどこかに当たったりもしていにゃい。

直前で何処かへ矢が消えた。


にゃにかが誰かが受け止めた。


わたしの猫の瞳。

金色の虹彩でも見通す事のできにゃいにゃにかがそこに居た。


「……影に隠れる一族だと……

 闇に紛れ誰にも気付かれる事無く、相手を殺す暗殺族セムだと……

 とてもそうは思えん。

 この月明りの中、丸見えだぞ」


どこかから声が響いて。

おそらくはその声の持ち主が矢を受け止めたのね。

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