第28話 エステル航海長

「エステル、舵を変わって貰ってもいいか?」


「アタシが舵取って良いの?

 やったー!」


小型船が出てもう一時間くらいかしら。

ライールさんはずっと舵を握っていたんだけど。

さすがに疲れたのかしら、そんにゃ事を言い出した。


「ああ、この辺は目立った障害物も無いからな。

 高い岩場にだけは気を付けろよ。

 なにか有っても慌てて舵を大きく切ったりするなよ。

 下手すると船がひっくり返るからな」


「それくらい分かってるよー」


「ようし、頼んだぞ。

 エステル航海長セイリングマスター


「アイアイサー、船長キャプテン


砂船乗りシンドバットに憧れていたエステルちゃん。

舵を取れるとにゃって、瞳が輝いているわね。

うんうん。

大人しい彼女もステキだけれど。

まだ12歳だものね。

そんにゃ風にハシャイでるトコロも可愛いわー。




ライールさんは客室キャビンに向かってる。

中にはエラティさんとステュティラちゃん、ファオランさんがいて。


「ピスタチオ、生でタベルの?

 ワタシ、ローストしたのしか食べたコトナイ」


「食べられるわよー。

 獲れたてだと瑞々しくて美味しいの」


そんにゃ話をしている。



ライールさんはエラティさんの横に腰掛ける。


「エステルの父のライールです。

 エラティ隊長……娘がいつもお世話になってます」


にゃんて丁寧にアイサツしてるけど、そのサングラスに隠した瞳が怖いわよ。


「……ところで、ウチの娘とミョウに親しいようですが……

 どんなご関係で?」


エラティさんにスゴク間近までサングラスの顔を寄せているわ。

それってば、尋ねてると言うより、脅してるわよね。


「……関係?

 いえ、とくに護衛団の隊長と新人さんってだけですが……

 エステルくんとは話したコトも数えるほどしか無いですし……」


状況が分かってるのかどうか。

エラティさんは少し驚いたような表情。


「……ほほう!

 何回かは話したことがある?と……

 隊長という立場を使って、ウチの娘と何度も親し気に話したと……

 そぅいぃうぅコォトォでぇすぅかぁなぁーーーーー!!!」


グイグイとアップでせまるライールさん。

さすがのエラティさんも親バカパワーに押されてるわね。

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