第27話 サングラスからジト目

そんにゃこんにゃで砂海の小型船ニャビールジャーエヒは進んでいく。


ヨットみたいな船が三角形のセールを大きく膨らませて。

地面からほんの10センチ程度とは言え、宙に浮いている。

それはわたしにとっては驚きの光景にゃのだけど。

みんにゃ驚いていにゃい。

エステルちゃんたちはモチロン、他の国から来たハズのファオランさんでさえも。

と言う事はこの世界では普通の事にゃんだわ。


既に交易都市ホルムスは見えなくにゃっていて。

辺りは一面の砂漠。

砂漠と言っても砂の海ニャビールのようにゃサラサラとした砂とは違う。

荒野と呼んだ方が分かり易いかしら。

乾いた赤茶けた大地に岩が転がり、植物も生えている。


サボテンらしき多肉植物もあるし、花を着けた樹だって見かける。

赤い実を着けた緑の葉が鮮やかな木。

人の背くらいの小さい木にゃんだけど、赤い実がすずにゃり。


「エステル、あれピスタチオじゃないの?」


「うん、そうだよ。

 ステュティラちゃん」


「穫っていけないかしら。

 オヤツに丁度良いわ?」


「ええっ!

 ジャーエヒは陸上だと停船させて、また発進するの結構タイヘンなんだよ。

 オヤツは持ってきてるからそれでガマンして」


ピスタチオ?!

日本でもスイーツに入れるのが流行った木の実ね。

緑色のイメージあるけど、木に成ってる時は赤い実にゃの。



そんにゃコトを思ってるわたしの横から人がピョーンと跳んで行く。

宙を進んでいる小型船から地面に着地。

ピスタチオの実の付いた枝を取って、またジャンプ。


「はいっ、持って来たよ」


簡単なコトと言わんばかりにエステルちゃんたちに差し出す。

ニコヤカに笑ってるのはトーゼン、エラティさん。

浅黒い肌、漆黒の髪の美少年。



「エラティ隊長……すいません……ありがとうございます」


恐縮したように受け取るエステルちゃん。


「はー、アンタ、身軽ねー。

 すごいジャンプ力、やるじゃない」


「……ステュティラちゃん!、相手は隊長さんなの。

 さんを付けるか、エラティ隊長って呼ばなきゃダメ……」


「だって、コイツ……

 なんか偉そうじゃないし、いいじゃん」


「ステュティラちゃん~~!」


「あはははは。

 いいよ、コイツで。

 任務中じゃないんだし、キミも隊長なんて呼ばなくて良いんだよ」


ステュティラちゃんは大分シツレーな気がするけど。

エラティさんは楽しそうに笑ってる。


エステルちゃんは「すいません、すいません」と頭を下げてるわね。


そんにゃ、楽しそうにゃ雰囲気の少女を見てる人がいるわ。

ライールさん。

青いサングラスからジトーっとした目で笑ってるエラティさんと汗をかいてるエステルちゃんを見つめてるの。

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