第8話 ニャイスタイミング
「なんだ? 何の騒ぎだ?」
「さっき、ドロボーって言ってたぞ」
「あの娘、男の人を蹴り飛ばしたぞ」
「暴力沙汰か!」
「剣を抜いてる奴もいるじゃないか?!」
「アレは大丈夫だ。
あの赤いターバン、護衛団の奴だろ」
「護衛団と賊が揉めてるのか」
「あっちの男もナイフを持ってるぞ」
街の大通りにゃの。
騒ぎに人が集まって来るわ。
剣を鞘から抜いてしまったアレシュ青年や、ニャイフを持つ男の人に怯えてるわね。
黒猫のわたしは通りの隅の方から騒動をにゃがめてるんだけど。
あまり多くの人に迷惑かけちゃダメよね。
少し、力を貸しておこうかしら。
わたしはエステルちゃんの居場所を確認しにゃがら、人々の足元をすり抜ける。
うん。
あの位置にゃらやじ馬たちに遮られて、わたしの姿はエステルちゃんに見えにゃいハズ。
泥棒を追って来た男たちが少女に近づく。
少女はニャイフに警戒した様子。
うーん。
この娘、泥棒にゃのかもしれにゃいけど……さすがにニャイフで脅すのってどうにゃのかしら。
とは言ってもこの少女も男の一人を蹴飛ばしてる。
多分、格闘技で鍛えてるんだと思うの。
確か、空手の有段者やボクシングのプロって殴るだけでも凶器で人を刺したようにゃレベルの犯罪扱いにされるのよね。
そう考えると仕方のにゃいコトかもね。
とにかくあまり物騒にゃのはイヤよ。
赤いチャイニャドレスの少女は平手で、ニャイフを警戒しにゃがら、今度は左足を上げる。
素早いミドルキック。
男の脇腹に決まるわね。
と言うタイミングでわたしはサササッと近づく。
少女の軸足を両手で、エイっと。
「キャァッ?!」
「大丈夫か?」
もう一人の男がおにゃかを蹴られた男を気にする。
「あ……ああ。
コイツがバランスを崩しやがったからな。
蹴りはかすめた程度だぜ」
そうでしょ。
ニャイスタイミングでしょ、わたし。
「今の内捉えるぞ、アレシュ」
「はいっ」
トーヤーさんとアレシュ青年が転んだ少女を捕まえようとしている。
見ていたエステルちゃんやステュティラちゃんも近づいてくるわね。
わたしは少しはにゃれましょ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます