第79話 泣き声

弓を構えた戦士が狙いを定める。

目標はヴィルーパークシャ。

巨大にゃ象の魔物ダェーヴァ


地面から頭までの高さでざっと4メートル位かしら。

人間の倍以上。

頭から尾までの長さにゃんて10メートル近くあるんじゃにゃいの。


ゆっくりと歩いてくるんだけど。

その歩幅が人間とは段違い。

結構にゃ速度で泉からこちらに向かってくる。



「良しっ、行くぜ!」


「おうっ!」

「やってやるっ!」


サイラスとそれに続いて二人。

長めの槍を持った戦士が魔物ダェーヴァに向かう。


弓を持った戦士から矢が放たれる。

矢は頭部の巨大な一つ目を狙うけど。

惜しいっ。

直前で象のはにゃに払われたわ。


ヴィルーパークシャが矢に気を取られてるうちに戦士たちは近づく。

すでに槍の攻撃範囲。


サイラスが槍を胸元からエイッと上に向かって突き上げる。

かのように見えたけど、途中でその動きが止まるの。


「う、うううぅぅう……」


呻き声を上げてしゃがみ込むサイラス。

後ろに続いていた二人の男の人も同様。

頭を抱えて悶絶している。


「……何故だ、母さん。

 なんで死んじまったんだ……」

「うぅぅ、お前、いきなり出てっちまうなんてあんまりだ。

 俺、少し乱暴だったかもしれないけど。

 お前のコト愛してたのに」



どうしちゃったの?

二人の人は自分の頭を抱えたり、胸を押さえて苦し気。

ケガにゃんてしてにゃいのよ。

魔物ダェーヴァににゃにもされていにゃいわ。


サイラスは地面に寝転がって暴れ始める。


「くそっ、トーヤー!

 俺、おれ、本当に好きだったのに。

 ヒデェだろ。

 みんなの前で、俺のコト知らない、なんて」


子供みたいにジタバタしてるの。


「知らないなんて。

 何度も話してるじゃないかよ。

 チクショウ。

 タイプじゃ無いなら、言ってくれりゃあ直すよ。

 だけど……知らないなんてあんまりだ……」


にゃんだかもうにゃきわめいてるわね。

大の大人がみっともにゃいけど……

少し同情しちゃうわ。


いや。

それどころじゃにゃい。


すでにヴィルーパークシャはサイラスの近く。

このままじゃ踏み潰されちゃう。


巨大な象の魔物ダェーヴァが前足を上げる。

あの足に踏まれたら、人間にゃんてペシャンコ。

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