第61話 アシャー神の加護

「アシャー神の加護?

 ……ってどんななんです?」


「ああ、アレだよ」


戦士の一人が指を指す。

その先には剣を構えて、天に視線を投げるエラティ隊長。

静かにゃ殺気を放ちつつも、余裕の有る微笑みを浮かべている。


その足が地面を蹴った。

と、思うと信じられない高さを舞う。

えええっ?!

身長の倍以上、5メートルくらいは跳んでるんじゃにゃいの。

幾ら身軽にゃ美少年でも人間の出来るコトじゃにゃいわ。


「なんてジャンプ力?!

 アシャー神の加護ってジャンプ力が強くなるコトなんですか」


「……いや、そうじゃねーんだ」

「……正直、俺らも良くは分かってねーんだけど」


アレシュ青年が驚いて尋ねるけど、戦士の人も自信にゃさげ。



「アレシュ、一番隊の隊長だぞ。

 その位知っとけよ」


しゃしゃり出て来たのは見たコトある男ね。

誰だったかしら。


「サイラスさん、知ってるんですか?」


「アッタリマエだ。

 あのな、人間が跳び上がると……

 地面に落ちるだろ、大地に引っ張られるワケだ。

 これがつまり、地面に人やモノを引き付ける力、なんだよ。

 その引き付ける力、そいつをエラティさんは操れるんだ」


「引っ張る力……?

 ジャンプしたら、もちろん落っこちますけど……

 それを操る……良く分かんないですね」


「ヘッ!

 アレシュにはまだ分かんねーかもな。

 アシャー様は十二大神の一人、加護を受けた人は少ないし、受けた人も上手く操れる人間は少ねーんだ。

 あんな風に使いこなすのはエラティ隊長くらいなのさ」


「だから……『天のエラティ』……」


地面から見るとエラティ隊長は天高く、跳び上がる。

宙で華麗に舞うように回転。

その勢いで刀をアンズーに叩きつける。



……地面に引っ張る力……って重力じゃにゃいの。

重力……重力っていつ発見されたんだったかしら。

アレよね、ニュートンのリンゴ。

近代の直前、16、17世紀ごろよね。

この砂の国の時代はわたしには分からないけど。

鉄製品は普通に出回っている。

だけど、自動機械は見かけない。

自動車も鉄道もにゃいわ。

まだ、重力と言う概念が発見されてにゃい。

もしくは発見されていても、一般には広まっていにゃい。

そんなカンジかしら。


んんん。

というコトは……

エラティさんってば、重力を操れるの?!

スゴクにゃい?

とんでもにゃいわ!


空だって飛べる。

タ〇コプター要らずで自由に空を飛べるの?!


いくらにゃんでもスゴ過ぎにゃい?


そう思って見ると……

エラティ隊長は信じられにゃいようにゃジャンプ力。

空高く跳び上がって、舞うように戦うけれど。

その後は地面に降りていく。


うん。

そうよね。

重力を操れるって言っても、そんにゃ好き勝手、自由自在に使えるワケじゃにゃいんだわ。

身軽にジャンプ出来るとか、そのくらいにゃのね。

それだけでも十分スゴイ事だけど。

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