第29話 ナシール副団長
「良いか、ステュティラ。
アザム団長に迷惑をかけるんじゃないぞ」
ステュティラちゃんに注意してるのはそのお父さんね。
ターヒルさんだったかしら。
武術道場の先生なんて言うから、どんな大男かと思うと優しい顔の男の人なの。
でも剣を握ると豹変するらしいわ。
ステュティラちゃんは剣を持たせるとアクマになるだなんて言ってる。
「エステルさん、貴方も頑張って下さい。
いつもステュティラが迷惑かけます。
馬鹿なマネしていたら叱ってやってください」
「はい、ターヒル先生。
あっ、いいえ。
むしろわたしがステュティラちゃんにはお世話になってるんです」
「もー、父さん。
話が長い。
遅くなっちゃうわよ」
遅くなったのはステュティラちゃんが寝ていて、起こしに来たアレシュ青年をタコ殴りにしていたからにゃんだけど。
エステルちゃんとステュティラちゃんは坂道を登っていく。
行く先は護衛団の建物ね。
「父さん、最近ホントウにうるさいわ。
アザム団長に迷惑をかけるんじゃない、って何回言えば気が済むのかしら」
「ターヒル先生、団長さんと知り合いなんだね」
「うん、なんだか恩義が有るらしいわ。
父さん、元護衛団だったんだけど。
退団する時に素直に辞めさせてくれて、あの道場を出す時に護衛団の新人を斡旋してくれたのが団長らしいわ」
「へー、団長さんいい人」
「逆に副団長のナシールとは仲が悪いらしいわ。
勝手な都合で団を抜けたって父さんに言ってるし、ものすごく厳しいらしいわよ」
「ナシール副団長、聞いた事あるわ。
鬼のナシールって有名じゃない。
強いし、頭も良い、オマケにハンサムってウワサね」
にゃーにそれ、完璧超人じゃにゃい。
逆に胡散臭いわ。
「ハンサム?
気になっちゃうわー。
父さんも気を付けろとは言ってたけど。
でも悪い人間じゃないんだと言ってたわね」
ステュティラちゃんはそう言うけど。
人間てそんにゃに完璧じゃにゃいものよ。
ナシール副団長、要注意ね。
わたしは二人に気付かれにゃいよう、建物の上を歩いてるの。
屋根の上をお散歩ね。
すると見えて来る建物。
この街には派手な色、白を基調に青や金色の派手な色で塗られた建物が多いんだけど、地味なレンガ色。
あれね、護衛団の本部。
高台から街を見守りつつ、何か有ったらすぐ出動出来るようにしているのね。
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