第18話 空を飛ぶ樹木
「こんな街に近い森でアンズーを見かけたなど聞いた事が無い。
先ほどのヴァウーザカと言い、森に
トーヤー隊長が言う。
キリっとした顔立ちの美女、あまり表情が変わらにゃいんだけど現在は眉を寄せてしかめ面だわ。
そんな顔もカッコ良いわ。
美人て得にゃのよね。
エステルちゃんの可愛さには敵わにゃいけど。
「エステルくん、逃げるぞ。
走れるか?」
「えっ、でも……」
「アンズーは護衛団員でも一人で倒す
三人はいないと厳しい強敵だ。
ましてキミは見習いになる為の試験を受けてる最中の少女。
ここは逃げるべきだろう」
「……はい」
エステルちゃんが悔しそうな顔を浮かべてる。
でも貴方ケガしてるのよ。
女の子にゃんだから傷痕が残っちゃ大変。
ここは素にゃおに逃げるべきよ。
カタキはわたしが取ってあげるわ。
「そうですね。
私達の後からステュティラちゃんやアレシュさんが来ます。
後ろに行けば合流出来ますね」
エステルちゃんは良いことを思いついた表情。
もしかしてエステルちゃん、トーヤー隊長、ステュティラちゃん、アレシュ青年で四人いるからアンズーに対抗できるにゃんて思ってるのかしら。
だけどトーヤーさんは表情が変わらにゃい。
「ムッ、後続はアレシュか。
頼りにならん。
むしろ足手まといか」
うわー、辛辣だわ。
アレシュ青年、信用にゃいのね。
でも正直わたしもその四人では無理があると思うの。
そんな会話を聞きにゃがらも、わたしはとっくに動いてるわ。
トーヤーさんにも見えない距離まではにゃれて。
森の木に手を掛ける。
【スキル発動】
【筋力強化】
わたしの猫の手。
肉球があって、爪が生えてるの。
ヘレーナさんが切ってくれるから、爪は伸びてにゃいわ。
物を持つのにはあまり向いていにゃいんだけど。
えいっ。
力まかせにわたしは大木を地面から引っこ抜く。
そのままうりゃっとにゃげつけるわ。
もちろん、狙う先は鳥の
「なにっ?!」
ガサガサガサっと大きな音。
森の木々の葉っぱの立てる音にトーヤーさんが反応する。
その上空を木が飛んで行く。
人の身長を遥かに超える背の高い木。
それがまるで矢の様に上空を飛び、アンズーに向かって行く。
鳥の
しかし木から突き出た枝がその図体に当たる。
青い羽根をやられたアンズーはバタバタと不自然な飛行。
「これは一体……」
「今、飛んでいきましたよね。
木の様に見えましたけど……
木が空飛ぶワケ無いですよね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます