第9話 護衛団の入団試験

「お嬢ちゃんは何故護衛団に入りたいんだい?」

「それは……」


老婦人がエステルちゃんに訊ねてる。

お婆ちゃん、フゥフゥ息を切らしてるんだからあまり喋らにゃい方がいいわ。

護衛団って定年制にゃいのかしらね。

でもエステルちゃんの事はわたしも聞きたかったの。


このホルムスの街では12歳ににゃると子供は半人前。

日本の感覚だと小学校を卒業したばかり。

その後は中学生、もちろん義務教育にゃのだけど。

ここではお仕事の見にゃらいに着く時期にゃのね。


お家の仕事が商人だったりしたら、そのままお店で見にゃらいに。

職人だったりしたら、その弟子として働きだすの。


ステュティラちゃんは、お父さんが剣士。

今では武術師範として道場の先生だけど、元は護衛団に居たにゃの有る戦士だったそうにゃの。

それが護衛団に入ろうとするのは理解出来るわ。

道場の師範ににゃる可能性も有るけど、確か彼女はお兄さんがいる。

そっちが道場を継ぐ予定にゃのかもね。


でもエステルちゃんは。

父親のライールさんは砂船乗シンドバットり。

小さい頃はお父さんとおにゃじ砂船乗りににゃるって言っていて、お母さんのヘレーナさんに諫められてた。


「女の子は砂船乗りとしては歓迎されないわ」

「それは昔の話だもん。

 現在では男女平等よ。

 女性の砂船乗シンドバットりもいるわ」


エステルちゃんはそう言ってたらしいの。

ネコのわたしにはまだ良く分からにゃいけど、でも現実にはにゃかにゃか男女平等とはいかにゃい。

大相撲だって女の人は出れにゃいわ。

エステルちゃん、色々船乗りににゃる見にゃらい募集の事を調べていて断念したらしい。

可愛そうだけど……

でも船乗りってやっぱり過酷にゃ仕事。

何ヶ月もお家に帰れにゃいライールさんを見るとそう思う。

だから、それも良かったのかもしれにゃいわ。

ヘレーナさんも安心したみたいだし。


それでヘレーナさんは勉強を勧めてたの。

エステルちゃんは頭が良いし、本を読むのも好き。

そのまま学問所に行って、博士や研究者、場合によっては役人や司祭マギににゃる。

そんにゃ将来のための勉強。

多分エステルちゃんにはピッタリ。

だけど彼女は一週間前に急に言い出したの。


「わたし護衛団の入団試験受けて見る。

 受けたいの」

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