第7話 え、不審者ですか?
「やめてください!」
今日はもう帰るつもりだったのになぁ。
なんかすごい面倒ごとな気がするよね。
面倒ごとは極力回避したいので少し覗いて人命に関係しないようだったらそのまま帰ろうと思ってる。
薄情だと思うかも知れないけど、ダンジョン内の問題に対応するためにダンジョン協会には救助隊が存在している。
戻ったら報告するつもりなので人命に関わらなければ、介入しなくてもそんなに問題ないの。
ちょうど問題が起きているダンジョンの通路の角に差し掛かったところで声がはっきりと聞こえてくるようになった。
「俺のものになれって、いい思いさせてやるぜ」
男が女子高生くらいの女性に向かって嫌がらせをしているみたいね。
これなら介入しなくても大丈夫そう。
「やめてください!そんな最初に出てくるような雑魚キャラみたいなセリフ!私がナンパされるヒロインみたいじゃないですか!」
、、、、、ん?
私は思わず立ち止まってしまう。
女性の言った事も衝撃的だけど私が反応したのは違う所です。
さっきはダンジョン協会の貸し出し装備を着ていたので気づかなかったけど、この声で気づいてしまった。
この声は間違いなく私の後輩で、腐れ縁と言っても過言じゃないほど昔から知っているの。
名前はリオと言って美少女だから学校で結構人気があるけど実際話してみると分かるけど結構残念な子なの。。あの子探索者やっていたんだ。
流石に知り合いを見捨てることはしたくないので助けに入る。
「リオ、大丈夫?助けに入ろうか?」
「せ、先輩!助けてくださいぃ、食べられちゃいます。こんな人なんて嫌です!」
「えっと、助けを求めてるんだよね?」
「求めてますよ!ジャイア○みたいな人に絡まれてて心細かったんですから」
「テメェら!さっきから何ごちゃごちゃ騒いでやがる!」
話して助けが来るまで誤魔化そうと思ってたけど流石に厳しかったみたい。ヤンキーAは短気みたい。
「あなた、何してるかわかってるんですか?」
「あぁ”?お前こそ何してんのかわかってんのか!?俺様はギルド廃課金だぞ!逆らったらどうなるかわかってんだろうなぁ?」
ギルド廃課金はやってるこそはボスの独占に見えるけど、宝箱から出たアイテムで余ったものは市場に回しているし、ダンジョンないの救護活動もしている。
幹部の人にも会ったことがあるので廃課金がそんなことしないって知っているんだけど。
「へーそうなんですね」
とりああえず棒読みくんに転じます。
「テメェ!舐めやがって!ん?よく見ればお前も中々のツラしてんじゃねぇか、今謝ったら許してやるぜ」
「え、可愛くて強くて美しいなんて、ありがとうございます」
「そこまで言ってねぇよ!ふざけてんのか!殺すぞ!」
『殺す』その一言でスッと影が落ちて心が冷えていくのを感じる。実際に身近な人が死んでしまったからこんな感情が湧くんのかな。
「先輩、このお猿さん頭の中まで筋肉みたいです。自分の立場が理解できてませんよ。」
「そうね、何も理解できてないよね」
少し煽るように言う。リオの気の抜けた発言で冷えた心が少し戻る。
そうよね。実際こいつはどのみちアウトなのよね。たかがナンパ如きと思うかもしれないけど、探索者はまず刑法が重くなるの。
例えヤンキーAが武器を手にしていなくても訴えたらいいところまでいくの。
さっき殺すって言ったこともあって最悪の場合は、次は法廷で会いましょう、になることもある。
それにどの道 一ヶ月の探索禁止が協会から言い渡される。
こんなお金も貯めてない、無一文みたいなヤンキーAさんは一ヶ月も探索できなかったら生活はかなり厳しいものになるしね。
「いいからお前も俺のものになれよ。いい思いさせてやるぞ」
「そんなに自分の顔に自信がおありなんですね。」
いつもの感じだとそろそろ廃課金のメンバー交代の時間なので時間を稼ぐことにしようかな。
時間稼ぎは大丈夫なのかって?大丈夫、思った以上に単細胞な気がするから。
「おう、イケメンだろ。体も鍛えているからヒイヒイ言わせてやるぞ」
「自惚れないでください。あなたの顔なんて有触れたモブさんですよ」
「なんだと!俺様がボスを倒してやってんだぞ!まだボスにたどり着けていない雑魚が!」
「え、ボスを倒すと偉くなれるんですね!そこら辺のボスよりよっぽどあなたの方がボスに向いてますよ」
「やめろよ、照れるじゃねえか」
「先輩!私もそう思います!「「オークみたい」」ですよね」
さすが腐れ縁、しっかりと私の思ったことがわかっている。
「あぁ”てめえら言わせておけば!」
「おいおい、何してんだ。騒ぎが起きてると聞いてきてみたら団員がいるじゃねぇか」
あ、この人、、、、、
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