第2話
古びた看板と錆びた道路標識。
ここは何処か寂しさを助長させる様な場所だった。
「どうしたんだい?そんなところで」
デジャブのような気がする。
後ろを振り返るとゆるっと着こなしたTシャツに見たことの無い羽織物と手には四角いキューブをもち、おまけにペンダントのようなものを付けている男が立っていた。
彼は普通の人とは思えない程の顔立ちと服装をしている。
「お兄さん、何者ですか?」
質問された答えを返さず僕は質問する。
すると、お兄さんは肩を竦めた。
「何者って言われてもなぁ…」
そう言って彼は濁りを混じえて会話をする。
…誤魔化しているつもりなのだろう。
「僕についてきてください」
途端に僕はそんな事を言っていた。
「ついて行く利点はあるのかい?」
お兄さんは僕について行くことによるメリットとデメリットを提示した。
はぁ…と息を吐いた僕は、
「だってそうしたら僕が何をしているか分かるだろう?…それにデメリットはここに居ることによって次の命が狙われる事だよ」
そう言って僕は微笑む。
すると、お兄さんは少し考えている素振りを見せると「そうかい、それならついて行くことにするよ」と言って微笑んだ。
「所でお兄さん、ここはどこなんだい?」
僕はお兄さんに聞き返した。
「ここは…どこか行きたいのか?」
そう言ってお兄さんは此処の場所を教えたがらない。
仕方が無いので無駄な抵抗は辞めた。
「そうなんだ、北の方角に行きたいんだ」
そう言って先程まで霞んでいた僕の瞳に少しだけ光が戻る。
一瞬の出来事だった。
「そうかい、君は僕の正体が分かっているようだから…自由に力を使わせてもらうよ」
お兄さんがそう言うと手に持っていた四角いキューブのようなものが光り、その光が僕達を包んで行った。
目を覚ますことになったのは、やはりお兄さんの声で夢ではないことにガッカリしたのだった。
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