第95話 そんなに小さいのか?
「お前、なぜ前をタオルで隠す?そんなに小さいのか?いや、もしかして、女か?胸毛とか、すね毛もないし?」
「えっ?でも、エチケットとして・・」
「なに!!ワシは、エチケットをわきまえてイナイだと!!」
「いえ、決してそのような事は・・」
「では、タオルをどかせろ!そして、堂々としろ!!ワシは、もう、お前を勇者候補として認めているんだからな!」
「さっき、おじい様は僕を勇者と認めましたよね?僕は候補ではありませんよ!」
「そうか、だったら、ワシの背中を洗え!教えてやる、なぜ、ワシが候補とか言うのかを!」
!が多いな、このおじいは!
おじいは、まず、MPについて、知っていることを語り出した。
MPは、ナゾの組織で、その秘匿性と隠密性で、どのような活動をしているのかが伺い知れなかったのだが、最近になって、内紛があったらしく情報漏洩が起こって、その機密の一端が知れるところとなったらしい。
まず、MPの実質活動人員は少人数であること。
そして、なぜこうも長年に亘りナゾの組織だったのかというのは、皇室直属の組織だったからだ。
内閣情報調査室の諜報活動は有名だが、実は、相当昔から延々と続く皇室直属の秘密組織があり、MPはその代表的な組織らしい。
そのため、世間には知られず、政府のごく少数の人間にしか知らされずにいたのだが、なにやら特殊技能などの古来より伝わる秘術などを用いるという組織らしく、皇室が武家に潰されてこなかったのも、そうした組織の存在があったという事だった。
「小僧、お前、な~んも知らないのか?」
「おじい様、僕は勇者になったばかりだし、MPというのもユミから聞いただけですよ。わかるわけ」
「こぞううううーーー!お前、ユミのことをユミと言ったな!!まだ、許したわけじゃねーぞ、小僧!!」
えっ?
ユミさんって言わないといけなかった?
なんかこのおじい、めんどくせーぞ!
いや、ずっとめんどくせー!
僕は、いや、オレはプチッと切れた!
「もう一度、背中を洗わせていただきます!!」
背中を、男洗いした!
男洗い・・・筆者の造語。ただ、男らしくゴシゴシと力任せに洗う事をいう。ただ、特別に読者に対して注意することは、検索しないようにしてくださいってこと。特に乙女の方には、くれぐれも検索をしないように!忠告はしましたからね!
何か、皮膚が剝がれて来たのではと思う様な皮膚の残骸が
もう、背中は真っ赤だ。
そろそろ血が流れるかもと思った。
「はう!!・・なかなか、良きチカラで洗えるようになったな!」
(これが、
「そうっすか?じじい、あんた、オレを勇者と認めるよな!」
ここは、勇者としての威厳と、オレの文句ない強さからの上から目線で言わないといけない!
じじいには、こういう傲慢で不遜な態度が必要だし、今ならこのじじいをやり込めるぜ!
オレは、じじいの背中に更なるチカラを込める。
「・・・ふふふふ。お前・・それがお前の本性か?ふふふふふ!わかったから、もう洗うな、カズ!」
「じじい、あんた、やせ我慢ってやつだぜ、それ!あんたの根性も見れた。フジグループの情報収集能力もわかった。じじい、あんたとタッグを組んでやるよ。そちらにも、メリットのあることなんだろ?」
あくまでも、強気の交渉だ!
もう、引くに引けないぞ!
「・・くくくくく、ユミは、流石にワシの孫娘だ。良き漢を見つけたようだな。ワシにそのような口を利くとはな!認めてやるよ、お前の能力はな。ユミが惚れるのは当然だが、だがな、お前、弥生には手を出すなよ!勇者なら情けもあるのだろう?」
じじい、あんたの本音はそこか?
「じじい、それは弥生さんが決めることだろ?じじいも、精進しろよ。今は弥生さんは、オレに惚れてるぜ!」
「むむっ!早急にプレゼントを用意しないといけないか・・」
こうして、オレは、いや、僕は、じじいと仲良くなった。
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