第73話 子分再会

 オレは、野球部へ行った。


「藤堂、お前、エライことになってるみたいじゃないか?」


「幸助か?ああ、もうバカらしくてよ」


「オレ等は護道の非道を知ってるから、お前が陥れられたって思ってるぞ」

「飯野、サンキューな。で、みんなは、どんな風に聞いてるんだ、オレの事?」


「なんだか、お前って、女子のかたきみたいな?影で、女子を弄ぶ魔王のような?なんかさあ、逆に憧れちゃうだろ、それ!」

「佐山、お前ってヤツは・・・・そういえば、佐山って勇者とか、その、異世界モノに詳しいんだっけ?」


「まあ、こういっちゃーなんだが、学校で一番詳しいよ!ここは譲れない、絶対に!!」

「ほお~~、いいな、それ!オレに、また、いろいろと教えてくれよな」


「藤堂~~、お前も異世界大好きだったのかーーーー!」

(藤堂って、良い匂いがする!)


「抱きつくなよ、そっちの趣味は・・」


「うえっ!!!藤堂君!!・・よりにもよって、佐山っちなんかと!もう!!」

「うふふふふん!!いいわ~~、ステキな関係ね、藤堂君!写メ撮ろう!」


「早苗ちゃん、違うんだ!って、翔子さん、撮るなよな!」

 佐山を退ける。


「いいじゃんか、藤堂!親愛の印、ハグってやつだ!異世界では基本の礼儀作法だぜ!」(幸助)

(ウソだ、バカめ!後藤よ、藤堂に幻滅しろ!)


「えっ?そうなの?」

 って、また抱きつくんじゃねー!


「むふふふふ、異世界だって~、わたし、異世界詳しいんだけど」


「えっ!!翔子さんも!」

「ライバルが、こんな所に居ようとは!」(佐山)


「もう、知らないから!やっぱり、藤堂君って、ちょっとアレなんだね!行こう、トモエ!」

 そう言うと、早苗ちゃんはトモエと行ってしまった。


 トモエ、居たのかよ!



「オッス!おおー、藤堂、丁度良かった。お前と護道の対決だが、今週の金曜日、練習前にやるって決まったからな!まあ、いろいろとこっちも根回し・・・あっ!まあ、そういうことだから、サボらずに来いよ!!」


「わかりました、キャプテン。今日はそのことで寄ったんで、オレ帰ります。明日からちゃんと来ますんで」


「おいおいおい、お前は、田辺中の宝だからな!あまりサボるなよ!」

「キャプテン、オレ、まだ正式に部には入ってませんけど」

「なに?今入れ!すぐ入れ!」


 オレは、そう言うキャプテンを置き去りにして、部室を後にした。



 ~~~~そして、例のカフェにて


「おやぶ~~~ん、探しましたよ~~~~!!!しかし、流石は親分!また違う、コレですか?」

 そう言って、小指を立てる子分が居た。

 いや、子分の子分の3人も同じように指を・・・いや、一人だけ親指を立てている!

 コイツ等の名前は・・・・知らないが、まあ、子分でいいか。


「おまえら、何のマネだ、それは?」

 なんだか、ヤクザな奴等の仲間みたいな感じで、居心地が悪い。

 しかも、いつも声がデカい!


「えへへへへへーーー!とぼけちゃって、親分!わっかりましたーー!!そういう事なんですね!いやーー、今回のご同伴の方もお美しくて美人さんで・・ぐへへへへ、ヒミツにしときますよ~~、もちろんです、はい!」

 お前、何か勘違いしてるんじゃねーのか。

 それにしても、秘密にするとか、声がデカいんだが!


「おい、ユミ、なんか、褒められてるぞ!」

 オレは、コイツの相手が面倒なので、ユミに振った。


「藤堂って、やっぱりたくさんの美人さんと仲良しなのね。いいのよ、別にわたしは、その中の一人でも」

 涙を拭うフリをするな!!


「お、おやぶう~ん、いけませんぜ!美人の彼女さんを泣かしちゃ~~」


「アンタ!!」

 子分にユミは怒鳴る。


「へぇ?」

 子分は変な声を上げた。


「アンタね!さっきから私の事、美人、美人って、そんなの見たらわかることでしょ!それ以外の言葉を知らないの?」


「えっ??・・あ、あねさん?」


「・・・ふふふふふ、そうね、姐さんねぇ~~・・うふふふふ・・良い響きよ!私は、彼のコレだから、私のいう事もちゃんと聞きなさいよね!!」

 そう言って、ユミは小指を立てた。


 何かの流行りか、宗教か、小指を立てるのは!!

 お前、お嬢さんなのに・・・どういう育ち方をしてきた?


「は、はいーーー!!こら、お前等も敬礼しろ!」


「「「はいーーーー!!」」」


「あの、姐さん、御肩をお揉みしましょうか?それとも、その白くお美しい御御足おみあしをお揉みしましょうか?」


「・・・ふふふふふ、やっぱ、あなた達、バカね!そんな事したら、の彼が黙っていないわよ!」


 オレは、眉間にしわを寄せて、コイツ等を見た。


「は、はいーーーー!!失礼しました、姐さん、親分!!」


「ユミ、コイツ等と遊ぶのはもう止めとけ!おい、お前等!ここに居るお客さん全員に」


「はい!!心得ております!!おい、お前等、働け!」

「「「はい、兄貴ー!!」」」


「親分、それと、もちろん今回もスペシャルドリンクをお持ちします!それと、スパセットもご用意いたしました!!お一人分でしたっけね?」

 そう言うと、コイツはウィンクをした。


 お、おまえ、見てたのか、アレを?

 早乙女とのアレを?


「二つだ!!それと、オレのは大盛りな!」


「えっ!ずる~~い、私も大盛りよ!!」


 ユミは大食いなのか?

 まあ、いいか、オレが払うんじゃないし。


「は、はい!!承りました!!厨房に行ってきます!!」

 厨房に行くのか?

 ここ、お前等の店なの?

 何かわからんが、まあ、いいか。


 さて、子分達が居なくなったから、ユミに聞くべきことを聞こうか。


「ユミ、おまえはいったい、ナニモノだ?」


 そう言われたユミは、ニコリと笑ったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る