第22話

 さて、少し休憩もしたし食事の準備でもするかな。テント前で今日狩ったばかりのオーク肉と野菜を切って水と一緒に鍋に入れてスープを作る。雑だが調味料を後からしっかり入れるので味は結構美味しいのよ?


私が野菜スープをコトコトと煮ていると11 階から誰かが上がってくる気配がする。まぁ、転移陣前だしね。気にする事は無いわ。そう思っていると、


[ドンドンドン]


ん?結界を叩く音がする。立って振り返ってみるとゾンビ男が叩いてる!!


「ギャーーーーー」


「す、すまん。助けてくれ」


よく見ると、生きてる人だった。だが、服等の装備品はボロボロ、所々、怪我をしている。所持品は剣と装備している物のみ。


 どうするか悩んだが、自衛のため自分に結界を更に付け、テント結界の中に入れてあげた。まず、臭そうなので清浄魔法の【クリーン】を掛け、ポーションを渡す。あ、意外とカッコイイのね。血だらけ、泥だらけで分からなかったわ。


「で、どうしたの?」


私は死にかけた顔をしている男に聞いてみた。


「俺はルシアン。Aランク冒険者だ。ここのダンジョンに稼ぎに入っていたのだが、16階のゴースト系のモンスターにやられたんだ。不意を突かれてたおかげで少ない魔力が尽きてしまって進めなくなり、命辛々逃げてきたのさ。


10階の転移陣前のテントを見つけたので助けてもらおうと声をかけさせてもらった。荷物も失って俺、今、装備物しか無い。本当に困っているんだ。

今、外に出ても借金になるだけなんだわ。俺の借金が帳消しになるまでPTに入れて欲しいんだ。」


「嫌。私にメリットない。」


「俺ならダンジョン案内出来るぜ?」


「死にかけたのに?」


「1か月籠もってたんだ。16階の魔物が湧きすぎてやられたんだよ。お願いだ!お試し期間で三日間でいい。頼む!」


三日か。まぁ、食糧はあるし、お試しならいいかな。


「分かった三日間だけ。取り分は6:4で。」


「有難い!!ところで君の名は?」


「オリーブ。」


 まぁ、何にも持って無いのにPTを組むのは食事からなにから私が用意しなきゃいけないのよね。仕方がないわ。組んでしまったんだものね。


聞くと丸2日は食事もしてなかったんだとか。よく生き残っていたと思うわ。感心する。


 私は多めに作った野菜スープとパンをルシアンに渡す。ルシアンが食べている間にテントでマジックバッグから袋とタオル類一式を出して前に使っていた布団を用意し、テント横に小さな結界を作った。もちろん布団もちゃんと清浄魔法で綺麗にしてあるわ。不潔は嫌なのよ?


「ルシアン、そっちで寝る。」


「何から何まで助かる!」


 何日食って無いんだと思う程、がっついてスープとパンを食べてた。沢山作っていたけど足りなくて最後には私の分も更に食べ尽くしたわ。


ルシアンがどれほどの借金かは分からないが、私の使える魔法である程度の数を討伐すればすぐにでもテントや装備一式買えるほど貯まると思う。



契約した3日でお金も貯まるだろうからそれ以降は一人でまたダンジョンに来れば良いんじゃないかな。

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