こっくりさん?こっくりさん!

遊真野 蜜柑(ゆまの みかん)

第1話①

「こっくりさん」「キューピット様」「エンジェル様」……


やり方は違えど同じ様な物だと私は思っていた。やったこと無いけど。


クラスメイトが雑誌か何かに載っていたソレを紙に書いて持ってきた。


休み時間になると数人の女子がワイワイ集まりながらやり始めたのは先週の事で、何故か分からないけどクラスの女子の半数近くが休み時間になると数人で組んで机を囲んで遊んでいる。


紙の上に十円玉を乗せてそっと指を置いてクラスメイト達は遊んでいる。


(何が面白いのかな?動くから?動かない子もいるよね?その違いってなんだろう?)


「あー、動いた、ねー誰か動かしてるんじゃないのー?」

「えー。こっちは動かないよーなんでだろー?」

違う机の友人達はあははと笑い合いながら自分達の机の前へと向き直り始めていた。


聞きたい事を聞いて終えるはずの遊びは次第にクラスだけではなく学年、そして学校全体へと流行らせ男女関係なくやり始める人が増えた。


やり始める人が増えると何となく興味無かった私も興味が出てきて覗いてみたりした。


(女子の聞きたい事なんて〇〇君の好きな人とか△△君に彼女は居るのかとかそんな事ばかりじゃん、本人に聞けば良いのに。)


そんな風に思っていた時期が私にもありました。えぇ、ありました。


流行り出して1ヶ月……

たまたま部活動もなくて暇だった私は放課後に行うと宣言した友達に「見てる?」と聞かれたので見ると答えた。


最初から見た事の無かった私は初めて最初から見れる事に興味津々だった。


私の他に2人ほど見物がいて合計6人で1つの机を囲っていた。

紙の上に十円玉が置かれ、3人の指がスッと上に置かれた。


休み時間によくやってる友人達は余り緊張した様子もなく、むしろ見物してる私の方が何故か緊張していた。


「それじゃ、始めよっか」

慣れた様に笑顔で告げた友達が他の二人の同意を得るとそのまま十円玉に視線をやりスタートする為の言葉を口にする。


「こっくりさん、こっくりさん、おいでになりましたら はい へ移動して下さい。」


ーーーーーシーン……ーーーーー


指を置いている三人は互いに見つめ合いそして頷いてからもう1度告げる。


「こっくりさん、こっくりさん、おいでになりましたら はい へ移動して下さい。」


ーーーーーシーン……ーーーーー


(これは動かないパターンなのかな?)

何となく緊張していた感じが解けてきた。


三人は1度指を離し、深呼吸してからゆっくりとまた十円玉に指を置いてお互いを見つめて頷いてからまた言葉を告げる。


「こっくりさん、こっくりさん、おいでになりましたら はい へ移動して下さい。」


ーーーーーすすすす……ピタリ……


三度目の正直なのか、告げ終えて少ししてからす~っと十円玉が動き、 はい の所で止まった。

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