第20話
お待ちを~と言いながら王女は去って行った。
して当面の問題に対して目を向けた。
「それじゃあ、俺は帰るから。」
スキル《フライングダッシュ》!
(そんなものはない)
「mouuuuuuuuu!!!!!(`ヘ´)」
木々に隠れ視界に入らぬように逃げていくが牛はそんなのお構いなしに木々を薙ぎ倒しロードローラーも驚きのまっ平な平地を作り上げていく。
闘牛なにそれ美味しいの?
牛の姿ではなく絶世の美女に襲われているのだが。
字面だけ見れば勘違いする人も居るので解説すると文字通り、
激しい勢いで不意に攻める。
いきなり危害を加える行為をする。
防ぎようもない勢いで、急に押しかける。
という行為をしているのである。
故にここで俺がすることはただ一つ。
「パスポート起動。」
これで神に睨まれたら神は相当な俗神だろうに。
まあ神に近い存在と言っていたからもしかしたらこっちに来るかもしれないが……
その時はその時だ。
◇◇◇◇
「momou??(。´・ω・)???」
標的を見失った牛ははてなマークを浮かべていた。
標的の匂いが突然途切れており気配もない。
死んだかもしれないとも思ったが彼からした独特の力の残滓があることからどこかには居るように思えた。
「mou《・ω・》?」
牛はとりあえず考えた。
空間転移などの位置転移を行った線
自分の知らぬ力で身を隠した線
もしくは神に準ずる力が用いられたせいで自分には感知できなかった線
いずれにしろ条件はあるだろうと思い。
賢者の深淵大森林のナンバーワンに会いに行くことにした。
「mou!(起きろ)」
その瞬間生命は逃げ出した。
「ん?ああ君か珍しいね。」
この賢者の深淵大森林の主、カオスであった。
「mou!(私の伴侶(予定)からお前の匂いがしたからどこにやったのか教えてもらいに来た。)」
「ああ、あの異世界人のことか。」
「momou?(。´・ω・)?(異世界人?)」
「うん、彼はここの世界の住人ではないね。
偶々ショップスキルを得たことで来た転移者と言ったところかな。
他にも異世界へ来る方法はいくつかあるけど彼の場合は獣鬼と白虎が何かしたんじゃないかな。
ほら白虎は僕に届きうる存在だし、獣鬼一族も君と似たようなものじゃないか。」
「……それで…………どこに………行けば………いい?」
「人語を話していくことにしたのか、きちんと惚れているねえ。ならこれ上げるよ。」
——異世界への無料パスポートが原神カオスより渡されました——
「…………これは……?」
「これが異世界へいつでも行けていつでも帰れるパスポートだよ。あと設定するときは必ず時間停止で行っておくれよ。君が居なくなると騒がしくなってとても寝ていられなくなるからね。」
「……分か…った………。」
牛は住処に戻って準備を始めようと考えていた。
「あ、これを渡しておくよ。」
——異世界(惑星・地球)の世界各国の常識、身分証明書、経歴書、金銭、ハンコを渡されました——
「これで君は立派な一般人として活動できるからね。歳は彼と同じ17歳にしておいたからいつでも彼とデートができるようになっているから安心してね。」
◇◇◇◇
「なんかブルッとしたけど…………。」
今日はせっかく取得した戦士術スキルを使うことも無く終わってしまった。
「まあ、いっか。」
もう寝る時間だ。
異世界に行っている時間に一度睡眠は取っているのだがなぜかここに戻ってくると普通に眠くなることから時差ボケ防止機能みたいなのが付いているのだろうか。
「幹、少し手合わせしてくれぬか。」
道着に着替えたじいちゃんが居た。
「手合わせって何をするのさ。」
「なに、たった今しがた幹の気配が変わっておったからのう。それに最近幹の歩き方が気になってな、怪我をしているわけでもなさそうだから何かスポーツでもしたのかと思っていたのだがどうにも儂の見覚えのある歩法に似ていてな。何か武術を始めておりそうじゃったから手合わせをお願いした次第じゃよ。」
異世界に入ってから体格こそ変わっていないが過酷な環境は日常生活の中でも変化をもたらしたのだろう。
それを見抜くじいちゃんもじいちゃんだが……。
「俺は初心者だし弱いよ。」
「まあ素人に毛が生えた程度にしか思っておらんから気にせんでええ。ただきちんとできているかどうか見るだけじゃよ。」
「まあいいけどさ。」
疲れた身体に鞭を打ちじいちゃん家の裏にある修練場に向かう。
じいちゃんは傭兵時代を忘れないために模擬的な修練場を持っている。
じいちゃんと俺が住んでいる土地は山奥のため近所迷惑とかは気にする必要はない。
今回のじいちゃんは赤子の手をひねるくらいの気持ちで居るのだろう。
それに戦士術がどのくらいのモノか解らないのでここは存分に試させてもらおうと思った。
俺は並行思考スキルを一円玉増産に戻した。
純粋にスキルと己の力量を知るためにだ。
「ほう、姿勢は中々に良いな。それに重心も安定しているし何より足が地についている。」
傭兵としての眼力を持って幹のことを見定めていた。
祖父も獲物を持たず。
幹も獲物を持たず。
素手対素手の組手が静かに始まっていた。
「ではかかってきなさい。」
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スライム道
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