魔王なバニーガール美少女と何もしていない僕との甘々同棲生活!

天草 仙

彩羽くんの覚えていないのですか?

無...この言葉が人類で一番似合う人物は誰かと言われたら自信をもって自分であると言う自信が僕にはある。

何せ運動も出来て容姿端麗な弟を激愛している両親に、中学校を卒業と同時に金だけ渡されて、追い出されるくらいには何もない男なのだ。

そして、高校に入学しても彼女も出来なければ友達も一人しか出来ない有り様だ。

かといって趣味があるかと言われれば家ではひたすら寝ているだけで実質何もしていない。これが西谷彩羽と言う男なのだ。

「はぁぁ。せめて暖かいご飯が食べ...」

バチャギリギリィィ!!!!!っと僕が弱音を吐いたのとほぼ同時に家のドアの方からグロテスクな鈍い音が聞こえてくる。

「うわぇ!?な、なんだこの音...」

「私の愛しの...彩羽様はいらっしゃいますか~?」

と玄関のドアの方から若い女の子の可愛らしい声が聞こえてくる。愛しのと言う言葉が引っ掛かり、まさかストーカー!?と思ったが流石に僕のような男をストーキングしても面白いことはないだろうしそれはないだろう。

僕が恐る恐る、玄関の方にいくとそこには何故かバニーガール衣装を着た美少女がいた。彼女のまるで宝石のように美しい瞳や整っている高い鼻に艶のある唇、小柄ながらも豊かな胸にコスプレなのかお尻辺りについている悪魔のしっぽに思わず頬が赤らんでしまう。

彼女はちょこちょことこちらに近寄ってきて、僕の手を弱々しく握ってくる。

「10年前の約束通り来ちゃいました...」

と上目遣いで呟いてくる。

えっ?10年前の約束ってなんだっけ?僕は頭をフル回転させて思い出そうとするが何か記憶にもやがかかっていると言うか脳が思い出すことを拒否しているのかなかなか思い出せない。

「ごめん。約束ってなんだっけ?」

すると彼女は頬を赤らめ始める。だが彼女はそれ以上答えそうにはなかった。なので

「お前、僕の事好きだろ」

とドアを粉々に粉砕されたお返しに僕は美少女をからかうことにした。

「は...はい...」

と彼女は羞恥からか腕をパタパタとふりながら呟いてくる。そんな彼女に僕の頬もだんだんと赤らんできてしまい、それを感づいたのか彼女はさらに頬を赤く染めながらニヤリと微笑み豊かな胸を僕の腕に押し付けながら耳元で

「...こ、こんな格好...好きな人以外に見せませんよ...せ、世界で一番だーいすきに...き、決まってるじゃないですか...」

と呟いてくる。女性独特の甘い香りや胸の柔らかい感触を直で初めて感じ僕も羞恥から話を変えるように彼女に「お前このしっぽ動いてないか!?」と早口で言う。

「はい!魔王ですからね!」

と彼女もそれに乗ったのか早口で返してくる。

「おま...やっぱりへんな宗教の勧誘?」

と僕が目を細め痛い人を見る生暖かい表情を浮かべると彼女は手を左右にふり

「ほ、本当です!中二病じゃないですからね!!」

「見ててください」と彼女が言いドアに手をかざし始める。するとさっきまでノコギリのような物でぐちゃぐちゃになっていたドアはどす黒いこの世の物ではないような邪悪な光に包まれ突如として姿を消した。

彼女は自慢げな表情を浮かべ大きな胸を揺らしながらピースしてくるが僕はそれが以上にドアを消された事への怒りから彼女の頬を引っ張っていた。

「いひゃい!いひゃいです!」

「いひゃいです!じゃなくて、強いのはわかったからドア戻せ!」

と僕が癇癪を起こすと彼女はどこか不満と安心したような表情を浮かべ「彩羽くんは怖くないんですか?す...好きな人に怖がられないのは嬉しいですが、なんだか魔王的にはもうちょっとリアクションほしかったです...」

と可愛く呟く。

「いや、最初にあんな可愛いデレを見せられたら怖がるわけないじゃん」

と僕が小さく呟く彼女はまた頬を赤く染め

「...か、可愛い...って思ってもらえていたんですね...」

と言いまた両腕をパタパタし始める。おそらくこれは彼女の癖なのだろう。僕的にはめちゃくちゃ可愛いとは思うのだが豊かな胸が揺れ目のやり場に困りどうすれば良いかわからなくなるので控えてもらいたい。

これ以上ここで話しても話が進まない気がしてきたので僕は彼女に問う。

「で、何できたわけ?」

「彩羽くんと同棲するためです!」

「むり」

と僕が即答すると

「わかりました...諦めます。でも私の涙でこの地球上から私と彩羽くん以外消滅してしまったらすみません」

「お、おい冗談だよな!?」

「はい!流石の魔王でもそんな事しません。でも行くところがなくてダメですか?」

流石に魔王とはいえ、女の子が外で1人なのは社会的にまずいし彼女を仮に襲おうとした男がいたらその男が消し飛んでしまいそうなので僕は頭をくしゃくしゃとかき言う。

「あー。もう、わかった。わかった。ただし家事などはする事ー!それと名前なに?」

「こねです!もちろん彩羽様の為なら何でもします!」

「それと様ずけやめろー」

「は、はい...彩羽さん!」

こうして僕とバニーガール魔王美少女との同棲生活が始まったのだった。

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