第16話 そうだったのか、ごめんなさい
冬休み前。
寒さも厳しくなってきた冬。
委員会の仕事は校内にある観葉植物の世話のみ。
あとは年間総括の報告の準備をしている。
学校の事は変わりないが、個人的な問題が1つ。
嫉妬で逃げたあの日から、みずきさんと全く話さずにいた。
向こうもなんだか避けていて、自然と自分も遠ざける事に。
話すきっかけがない。
どうすればー・・・。
「はぁ・・・」
嫌だな自分。
悩んでぼーっとしている事が多くなり、しょっちゅう先生に怒られている。
こんなんじゃダメなのに、分かっているのに、一歩を踏み出す力に必要なエネルギーが計り知れず、物凄く重たかった。
もやもやの日々の中。
「
「ちょっと良いか?」
「良いけど?」
「さっすが弦大!ノリが良いねー!」
ガハハッと豪快に笑う聡の後ろを着いて行った。
※
「んー!さみぃーな!でも太陽燦々であったかいなー!」
屋上に来ていた。
「なんで屋上?」
「まあまあ!」
ニコニコ笑っている聡。怪しい。
すると、ガチャリと屋上の戸が開き誰かが入って来た。
「聡、ありがとねー!」
「おーよー!
優愛と・・・みずきさん!?
「なんで・・・」
「弦大、君・・・」
みずきさんも凍りついたように固まっている。
「はい、みずき!」
「わわっ!」
優愛はみずきさんの背中をぐいぐい押して、僕の正面に立たせた。
「後は2人で話し合いなさい」
「誤解を解けよー」
優愛と聡はそそくさと屋上から去った。
2人きりになった僕達には、気まずい空気が流れている。
これは僕から言った方が良いのか?だよね。
よし、せーの!
「「あの!」」
2人して同時に言葉を発した。
「「あっ」」
また同じ事を。
「えと、弦大君どうぞ」
「いや、みずきさんから」
何だ何だ?この譲り合い。
「じゃあ・・・私、から・・・」
「は、はい・・・」
みずきさんから話してくれるようだ。
「あの、あの日、えと、弦大君を呼んだのに、逃げちゃったじゃん?どうして?」
直球の質問にドキリと心臓が跳ねた。
「それは・・・その・・・」
互いに俯く。正直に言って良いのかな。
「みずきさんの隣に、男子生徒が、居たから・・・」
「えっ?」
「邪魔したら、悪いなーと・・・」
キョトンとしているみずきさん。
その顔を見て僕も釣られて間抜けな顔になる。
見詰め合う事、数十秒。
「ふふっ・・・ふふっ・・・」
「えっと?」
「あはは!」
あ、アレ?
「ごめんごめん!でも、おっ可笑しくて!」
「えーっとー?」
「まず誤解を解こう!」
あれあれれ?
「あの男の子は1年生で図書委員で、返却された本の位置が分からなくて私が教えてたの!」
おっ?
「それで彼が『置くとこ目の前なのに見えないとかバカッスね!』て笑ってたから、私も釣られて笑ってたの!」
「えー?!」
やっぱり自分がバカだった!
「ごめんなさい」
「良いよ良いよ」
すると、みずきさんはもじもじとし出す。
頬も少し赤い。
「もしかして・・・焼きもち?」
「えー、そのー」
恥ずかしくて目を逸らす。
「そかそかー」
なんか、嬉しそうに見えるんだが?
「嬉しい・・・なぁー」
う、上目遣い・・・グハッ!
ドキドキが止まらない。死にそうだ。
「良かったぁ、誤解が解けて」
「僕もです、はい」
「優愛ちゃんと
「だなー」
それから、みずきさんと一緒に、優愛と聡へのお礼をどうするか話ながら屋上を後にした。
本当にごめんなさい、ありがとう。
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