第6話 委員会委員長
日々は過ぎ去り1ヶ月が経過。
みずきさんはクラスメイト達と少しずつ距離を縮めた事により慣れてきて、朝と帰りのホームルームの時間帯のみ教室に居れるようになった。
授業はまだ苦しいみたいで、どうしても居られないが、それでも凄い成長だ。
本当に良かった。
「昨日は風が強くて大丈夫だった?」
花に水やりしながら話し掛ける。
「みんな、今日は心地よく過ごせるからねー」
心地よい風がそよそよ吹くと、花達もゆらゆら揺れた。
じっと見ていると。
「わっ!」
後ろから誰かが僕を驚かそうとして大きな声を出した。
「ん?」
驚きもしない。
「つまんなーい!」
ぷりぷり怒っている。めんどくさ。
「なんなの?」
「知ってる声には驚きません、花に集中してましたし」
「あり得ない」
僕は貴女があり得ない。
この方は同じ園芸委員会委員長で3年の
赤の縁の眼鏡をかけていて、黒髪ショートヘア、身長は女子にしては高め。
「先輩、もう水やりしましたけど」
「そんなの知ってるし!」
「じゃあ何ですか?」
今日はご機嫌斜め、何で?
「
ん?
「あの子は誰?」
ん?
「あの子ってどの子?」
「何で会話が成り立たないの!?」
ますますぷりぷりしてる。顔真っ赤。
頭から湯気出そう。
うーん、あっ。
「もしかして、大人しめの?」
「そうそう小柄なあの子!」
「あー、図書室の妖精さんです」
「はぁ?」
睨まないで。怖い怖い。
「同じクラスの子です」
「へぇー」
無難な回答を最初からすれば良かった。
「会わせなさい」
「ダメです」
この先輩、ヤバいでしょ?
「えー」
「そんなこと言っても無駄です」
この人は本当に駄目だよ。
「ふん!もーいーもん!」
そう言って司城先輩はいなくなった。
今日一緒の当番じゃないのに、何なんだ?
※
放課後の図書室。
「今日も過ごせた、苦しくなくなって嬉しいよ♪」
「うん、良かった」
みずきさんと僕は他愛ない会話をしていた。
誰も来ない図書室を良い事に、普通の大きさの声で。
「また来週から新記録を更新しなきゃ!」
「無理しないでね」
「ありがとう」
そう、無理は禁物。
と、ガラガラと戸が開いた。
「あっ・・・」
みずきさん、隠れちゃった。
「ちょっと、こっそり会おうとしたのに!」
「司城先輩」
「何であんたなの?」
あちゃー、これは不味い。
「先輩、帰りましょう?」
「さっきまで居たんでしょ?あの子」
「先輩、僕の言った事聞いてます?」
「黙ってて」
顔が怖ッ。
図書室の中を先輩はうろうろすると。
「あなたね?」
「ハッ・・・!」
あー、見つかったー。
「初めまして、3年の司城瞳!」
「はっ初め、まして、2年の、
見えないけど、声がだんだん小さくなったと言うことは、俯いている。
そして声が震えている。助けなきゃ。
「みずきちゃんね!」
「は、い」
怖がってんじゃん!
声のする方に向かうと、あれ?
「何かしら?」
先輩はみずきさんの頭を撫でていた。
「大丈夫?みずきさん」
「大丈夫、最初だけビビっただけで」
苦笑しているけど、本人が大丈夫なら、まあ。
「先輩、もう帰って下さい」
「可愛い子に優しくするのが先輩なのに、出ていけ連呼して失礼な後輩!」
すみません、馬鹿なの?
「変な事言った?」
「いいえ」
絞められるから、即否定。
「この子ならしょうがないね」
「「?」」
みずきさんと僕はキョトンとした。
「2人とも変な顔!」
けたけた笑っている先輩。
「んじゃまたね♪」
「はい、また!」
「お疲れ様でーす」
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