第3話 曜日を減らして考えてみる
死んだ俺は,また次の世界に転生した.
その世界で七並べをやっていて,スペードの6をずっと出さなかった
ついでにいうと,その世界は平日が2日しかないらしい.一曜日と,二曜日だって.中国語っぽいですな(月曜=星期一,火曜=星期二……らしい)
ある〇曜日(日曜日相当ね)に,看守がやってきてこう言った.
* お前の死刑は,今週の一曜か二曜のいずれかの日の正午に必ず執行される
* お前が,死刑の日がどちらの曜日になるかは,その日の正午に告げられるまで決して知ることはない
で,この世界の弁護士がついていて,こう言ってきた.
「大丈夫,あなたは死刑にはなりません」
その弁護士曰く,こういう論理らしい
* 死刑の日が二曜日だったら,一曜日の正午で死刑でなかった時点でそのことがわかるはずなので,「死刑の日がどちらの曜日になるかは,その日の正午に告げられるまで決して知ることはない」に反する.よってが二曜日であることはあり得ない.
* ということは,死刑の日は一曜日ということになる.
* しかし,このことがわかってしまったので,結局「死刑の日がどちらの曜日になるかは,その日の正午に告げられるまで決して知ることはない」に反する.
なんか曜日が5個もあるとさ,論理武装しようにもまだるっこしいから,これなら看守を看破するのに楽じゃん?
一曜の朝.
「はい,今日,俺死刑ですよねー.だって,(上記の論理を展開しつつ中略)死刑の日は一曜日しかないじゃないですか」
と言ってみたが,「そうか」と言われただけだった.
昼
……誰も来ない.
あれ?
二曜日なの? 確定じゃんそれ.
訝りながら,二曜日の昼.
「お前は,今日死刑だ」
「おいおい,このことって,昨日の昼にわかってましたよね.だって昨日死刑じゃなかったら今日に決まってますよ.『死刑の日がどちらの曜日になるかは,その日の正午に告げられるまで決して知ることはない』に反しますよ」
「何言っているんだ.お前は昨日の午前にドヤ顔で『今日,俺死刑ですよねー』って言っておいて,外しているではないか.どこが『知った』ことになる」
「いや,その時点ではそうだったじゃないですか」
「〇曜日の時点で予め,『死刑はこの日だ』ということを論理的に証明できなければ,『知った』ことにはならん.一曜日の昼が過ぎた時点で,こちらから『死刑は一曜日ではない』という情報を渡しているのだ.その上での推論など,だれでもできるだろう」
俺は死刑になった.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます