第3話 上司の命令は絶対!

「あの……」


恐る恐る声をかける大輔におじさんが話しかけてくる。


「あー

 君が久留里大輔くんかい?」


煙たい親父はそういって大輔に近づいてくる。


「はい」


「おや?おやおやおや?おや?

 元気がないぞっと」


親父はそういって大輔に飴玉を渡す。

飴玉のラベルには『元気玉』と書かれている。


「えっと」


大輔は、どんな反応をしていいかわからない。


「あー、エッチな飴玉貰っちゃった」


若くてギャルっぽい女性警官がそういった。


「お、りのあちゃんも飴ちゃん欲しいのかい?

 でも、残念。

 これは、エッチな飴玉じゃないよ」


「ふーん」


この女性警官の名前は、指原りのあ。

特殊班秘密課の女性警官だ。


「あ、そうだ。

 りのあちゃん、大輔くんの教育係をやってよ」


「はぁ?そういうのって前もって上の人が決めていくもんじゃないんですか?」


「そうだね、決まっていたよ」


「え?」


「だ・か・らー

 今、お願いしたの。

 あとはりのあちゃんの承諾一つだから」


「え?そんなの前もって言ってださいよ」


「だってさー

 嬉しいだろ?」


「何がです?」


「サプラーイズ」


中年の男がそういって笑う。

この中年の名前は、たいら 将門まさかど

あの有名な平将門とは、無関係の人だ。


「班長!いっちょ殴られる?」


りのあの表情が少し怒っている。

和む状況なのかもしれない。

でも、大輔は思った。

自分はここでもいらない存在なんだと。

どこにいってもたらい回し。

子どもの頃の記憶がよみがえる。


 花いちもんめ。


「勝ってうれしい花いちもんめ」


「負けてくやしい花いちもんめ」


「久留里はいらん」


「こっちもいらん」


その光景を久留里は見ていた。

輪には入れてもらえない。

輪に入っていないのに拒絶される。

切なさ悔しさ苦しさ。

いろんな負の感情が頭の中をぐるぐると回る。

まわりは楽しそうに笑っている。

教師もクラスメイトもみんな……

自分以外のみんなが笑っている。

自分は不愉快でしかない。

自分に味方なんていない。

だってそうだろ?自分はバケモノだのだから……

だってそうだろ?自分はいらない存在なのだから……


ツンツン。

何かが大輔の肩をつつくことで我に返る。


「え……?」


大輔は思わず声を出す。


「まぁ、よくわかんないだろうけど。

 私が貴方の上司です。

 私の命令は絶対!

 私に逆らっちゃダメだからね!」


りのあが、そういって胸を張る。


「はい」


大輔はそう返事をした。


「ほう、上司の命令は絶対なんだ?

 じゃ、僕もなにか命令しちゃおうかなー?」


「セクハラで訴えられますよ?」


若いイケメンの男がそういった。

若いイケメンの名前は、鳥須田とりすだ 楽空らく


「えー、楽空くんはいつもりのあちゃんの味方だよねー

 でも、僕の味方になればりのあちゃんを好き放題できるよ?」


「うわー

 この人最低だ」


りのあがため息混じりでそういった。

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